2020年東京五輪への切符をかけたスポーツクライミングの世界選手権が11日、東京・八王子の「エスフォルタアリーナ八王子」で開幕する。一人の選手が「スピード」「ボルダリング」「リード」の三つを全てこなす五輪実施種目「複合」で7位以内に入った日本人最上位選手は、東京五輪出場が内定する。開幕前日の10日、有力選手たちが意気込みを語った。

 「まさか、世界選手権がこんなに大きくなるとは思っていなかったです」。会見場を埋めた数十人の報道陣を見渡して笑ったのは、女子の野口啓代(あきよ)(TEAM au)だ。初めて世界選手権に出場したのは、高校1年生。ドイツだった。「その時は、こんなに取材の方がいなくて、もちろん記者会見もなくて」

 30歳になった女子の第一人者は、東京五輪を最後に現役を退くことをすでに公表している。世界選手権の開幕が3日後に迫った8日にも、自身のSNSに「This is the last world championship for me」(これが私にとって最後の世界選手権)と書き込んだ。この日、マイクを握ると、淡々と「来年の五輪出場枠を獲得してあと1年、競技したいなっていう気持ちでいっぱいです」。競技生活最後の世界選手権への思いを口にした。

 今大会は海外勢との争い以外に、五輪代表権を争う意味では日本勢同士の競争も一層激しくなる。それでも、「『日本人の中で』とは考えていないですね。他の選手がっていうより、今は本当に最後の世界選手権を過去最高の状態で臨みたいなっていう気持ち」と冷静だ。今季のボルダリングW杯で2年連続となる年間2位を獲得するなど、充実ぶりがその背景にはある。