鳥取東高(鳥取市)の陸上部顧問、福長正彦さん(40)は元短距離選手だ。かつて、あと一歩で五輪出場を果たせなかった。指導者になった今、選手を育てながら、スターターとして東京五輪・パラリンピックを目指している。

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 「ひざ下を締めて」「もっとこう、足を下ろして」。7月中旬、布勢総合運動公園陸上競技場(鳥取市)の室内練習場。鳥取東高陸上部の短距離メンバーに交じって走りながら福長さんが指導していた。

 福長さんは鳥取市出身で、100メートル10秒25、200メートル20秒57の鳥取県記録を持つ。鳥取西高から進学した東京学芸大時代にはインカレ200メートルで優勝するなど五輪出場が期待された。

 シドニー五輪前の2000年6月、日本学生種目別選手権で100メートル、200メートルの二冠を達成。五輪参加の標準記録も突破したが、7月の代表選考最終レースではコンディションが整わずに敗れ、代表入りはかなわなかった。

 同年9月、シドニー五輪400メートルリレー決勝。日本代表が6位に入賞したレースを、福長さんはテレビで見た。「日本人もあそこ(6位入賞)までできる。どんどん経験を積んで、次こそは僕も……」。当時の朝日新聞の取材に、こう答えたが、本当はテレビを直視できなかったという。「もしかしたら自分が走っていたんじゃ……」。同年代の選手の活躍が悔しかった。