15日、スイス・ヴィラールとフランス・シャモニーでのリード、スピードW杯2連戦を終えた日本代表が成田空港に帰国。リードW杯初戦で表彰台に上がった森秋彩(あい)、野口啓代、野中生萌、楢崎智亜の4人が報道陣の取材に応じた。

 森は「初戦でいきなり表彰台に登れるとは思っていなかったので、嬉しい。でも同年代に負けたのは悔しかった」と唇をかんだが、「優勝すると満足してしまうところがあると思う。悔しさを持って帰ってくることでモチベーションに繋がる」と、さらなる成長に期待を抱かせるコメントを残した。

 来月にはオリンピック代表権のかかるコンバインド種目を含んだ世界選手権が八王子で行われる。「残りの3週間で、3種目バランスよくトレーニングをして優勝できる準備をしていきたい」と話したのは楢崎。選手たちは、今年一番の山場へ向けて走り続ける。


森秋彩コメント
- W杯2連戦を振り返って。
「これほどの長期遠征を海外ですることがなかったのでストレスもあったが、普段できない経験ができたのでよかった。W杯のルートは日本と違ってランジも普通に出てきてパワフルで、オブザベーションも難しかった。初戦でいきなり表彰台に登れるとは思っていなかったので、嬉しい。でも同年代のソ・チェヒョン選手に負けたのは悔しかった」

-その同年代の活躍についてどう見ているか。
「同年代に強い選手がたくさんいて成績を残すことが大変だが、そのぶんライバル心もあって、モチベーションも上がっている。そういう環境にいれることはいい経験だと思う。シャモニーで1・2位を(同年代に)取られたのはすごく悔しいが、優勝すると満足してしまうところがあると思う。悔しさを持って日本に帰ってくることで今後の練習へのモチベーションに繋がる」

-W杯参戦1年目。ボルダリングも含め、戦っていける手応えはあったか。
「出始めたばかりでプレッシャーがないというのもあるし、課題の傾向もどんどん変わってくるので今の結果を残し続けるのは難しいと思う。変わっていく課題の傾向に合わせてトレーニングをして、なるべく安定した順位を残していきたい」


野口啓代コメント
-W杯2連戦を振り返って。
「リードの初戦では決勝に進出することができて、結果的にはカウントバックで4位。(ボルダリングW杯最終戦の)ベイル大会が終わってからはリードのトレーニングをしていて、初戦はそれが上手くいかせたと思ったが、2戦目は準決勝課題が苦手で決勝に進出できなかった」

-どこに難しさがあった?
「50手以上あるすごく長いルートで、普段は30~40手いかないような長さの練習をしていたので、持久力不足だった。手順が上下していて流れが作りづらいルートでもあった。ボルダーが得意な選手は登りづらく感じていて、(初の準決勝敗退となった)ヤンヤ(・ガンブレット)も登りにリズムや流れがある選手なので、ペースを乱されてしまった選手はうまくいかなかった課題だと思う。トレーニングしてきたことが生かせた場面と、まだまだ足りないという場面の両方を感じることができた2連戦で、世界選手権に向けていい反省材料になった」

-今季からW杯に参戦している2003年生まれの世代が活躍したが。
「急に決勝のメンバーが半分くらい入れ替わった印象で、彼女たちにはとにかく持久力があった。今回のシャモニーのような持久系の課題になると特に強さを発揮すると思う」

-世界選手権八王子大会が来月に迫ってきているが。
「まずはコンバインド決勝に確実に進出して、オリンピックの代表権を取ることが目標。その上で、私としてはボルダリングの優勝にもこだわりたいので、ボルダリングの調子も上げていきたい」


野中生萌コメント
-W杯2連戦を振り返って。
「リードは準決勝に進出することが一つの目標で、そこをしっかりクリアできたことはよかった。スピードは初めて決勝トーナメントに残れて、観客や周りの選手の雰囲気もピリピリとしていてかなり違いを感じた。初めての経験ですごく楽しかった。対戦した相手がその大会の優勝者だったが、プレッシャーにも勝てたと思う。実際に、自己ベストも更新することができた」

-手ごたえになった部分は?
「練習ではなく、W杯で更新することができたのはよかったと思う。対戦相手は前世界記録保持者でかなり速いことはわかっていたが、むしろ私が彼女にプレッシャーをかけるぐらいのメンタルでやれたと思う。計算上では8.1秒で登れると出ているので、まずはそこを目標にしつつ、7秒台を目指していきたい」

-7秒台に向けての課題は?
「スピード専門の選手と比べると登りがまだまだ左右にぶれている。直登できるようになるだけでタイムは縮まっていくはず。その無駄をなくすこと。ゴール手前のムーブが他の選手と少し違うので、そこの改善をすることでもタイムは上がると思う」

-世界選手権に向けては。
「今回のW杯でスピードにかなり手応えを感じたので、戦略的にはボルダーとスピードをメインに力を入れて、メダルを取れるように頑張りたい」


楢崎智亜コメント
-W杯2連戦を振り返って。
「調子を上げた状態で初戦に挑んで、第2戦では長い遠征の中で少し調子を落としてしまった。いい順位は取れなかったが、感触的には悪くなかったと思う。初戦は壁が短かく、かなりボルダーチックな課題になると思っていたので、(弟でともに決勝に進んだ)明智と2人で表彰台もなくはないなと話していた」

-その初戦では決勝でロープを踏んで足を滑らせてしまった。
「ギリギリロープを踏んでいない状態で休んでいて、体重を移したときにロープにかかってしまい滑ってしまった。もう少ししっかりとロープを回避すればよかった。最後のゴール取りがどれほど難しかったかはわからないが、滑らなければそこまではいけていた感触があった」

-他に見えた課題は?
「背中や前腕の耐久力がまだまだ足りない。リードは登っている時間が長いので、徐々に背中に疲労がたまり、少しずつ重くなって引けなくなってくる。最後までフレッシュでいられたら、最終面に入ってももっと頑張れる」

-来月の世界選手権に向けては。
「残りの3週間で、3種目バランスよくトレーニングをして優勝できる準備をしていきたい。まずは(コンバインド予選出場のために各単種目の総合ポイントで)20位以内に残り最後にピークを持っていきたい。代表選考を考えると7位以内に入ることがまず重要になってくるが、去年の世界選手権コンバインドでは相当悔しい思いをしたので、優勝したい」

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取材・文・写真

篠幸彦・編集部