15・16日、B-PUMP荻窪店(東京都・杉並区)にてadidas ROCKSTARS TOKYO 2019が開催され、男子は藤井快、女子は森秋彩が最上位カテゴリー「ROCKSTARクラス」を制し、ドイツ本戦行きの切符と賞金100万円を手にした。

 adidasの仕掛ける、クライミングと音楽の融合によって奏でられる一大イベントは、15日午前の一般アマチュアによる「BE A ROCKSTARクラス」予選からスタート。8名で争われた決勝では第1課題の完登が大きくものをいったユース日本代表の小西桂が制する。女子では全3完登した若干11歳の関川愛音(めろでぃ)が頂点に立ち、上位入賞者が野中生萌、藤井快ら招待選手の待つ「ROCKSTARクラス」準決勝へと駒を進めた。

BE A ROCKSTARクラスの予選からスタート。

DJ TOSHIKIがハイテンションなフィールドを生み出していく。

BE A ROCKSTARクラスの上位入賞者たち。

 16日午前に行われたROCKSTARクラス準決勝は、野中、藤井がそれぞれ少ないトライで全4課題を手中に収め、男女1位で決勝に進出する。男子のファイナリストには藤井、高田知尭、楢崎明智、原田海、石松大晟、緒方良行と、W杯の決勝経験者がずらりと揃った。

決勝前にはフリースタイルフットボーラーの徳田耕太郎と足立龍矢が登場。超絶テクニックを見せつけ、来たる決勝に向けて会場を盛り上げる。

 男子決勝は、ランニングスタートの第1課題、ダイナミックかつパワフルな第2、第3課題と観客を沸かせる課題が続いた。3つの難関のうち2つを攻略し、スーパーファイナル行きを決めたのは楢崎と藤井。上背のある2人が、レーザービームとハイテンポなミュージックによって生み出された独特な舞台を蹂躙していく。原田、緒方らは0完登に終わったが、悔しさよりも楽しさが勝ったような笑顔で、2人をスーパーファイナルへと送り出した。

決勝を首位通過した楢崎明智。

第1課題を登れず悔しがる原田海。選手たちは一様に楽しんでトライしていた。

 女子では波乱が起こる。バランシーな第1課題は、ランジでのゴール獲りを見事に決めた13歳の小池はなが2トライ目で沈めると、後続の森はランジではなく懸命に両腕を伸ばすクレバーなムーブを選択。指先でTOPに触れ、小池と同じ2トライで切り抜ける。その後、森は第2課題を唯一完登し、首位で3年ぶりの最終ラウンドにたどりついた。一方準決勝首位の勢いを持ち込みたい野中だったが、まさかの3連続ゾーン止まり。TOPからの景色を一度も見ることなく、2人のユース世代を前に敗れ去った。

野中は「想定したムーブをやるだけで、時間内にいろんなことができなかった」と0完登で敗退となった。

 並び立った同じ課題を登り、先にTOPを掴んだ者が勝者となるデュアル形式のスーパーファイナル。森と小池による中高生対決となった女子の最終課題を先に制したのは、今季ボルダリングW杯で表彰台も経験している森だった。「このままどっちも登れなずに続いたらどうしよう」と、何度も苦戦する難関を前に苦笑いを見せ合うも、最後は絶妙なボディバランスを駆使してTOPまで登り詰めた森が3年ぶり2度目の優勝を決めた。3年前は年齢制限により本戦への出場は叶わなかったが、その条件もクリアする今年、改めて本戦行きのチケットを手にした。

難関を前にトライが重なり、途中笑顔で会話する森秋彩(左)と小池はな。

優勝は16歳ながら2度目の頂点に立った森。

 2人の抱擁で始まった楢崎と藤井による男子スーパーファイナルは、「いつも集中しようとか、自分に対して変に圧をかけてしまうことがあったが、今回はすごく楽しかった」と、ミスにも冷静に対応した藤井に軍配が上がり、熱狂する観衆の前で初優勝。楢崎も拍手で藤井を称えた。

念願の初優勝を果たした藤井快。

会場全体が藤井と楢崎を称える。

 決勝の余韻が冷めやらぬなか、開かれたのがスペシャルコンテンツのひとつ、「adidas ROCKSTARS CLIMBING SESSION」。アディダス契約アスリートが直接クライミングのレッスンを施す貴重な場が設けられ、この日は前日の初心者向け「ANASAZI(アナサジ)」クラスに続き、3級以上を対象とした「ALEON(アレオン)」クラスが開講。講師には藤井、緒方、楢崎、さらには野中も登場し、豪華なセッションとなった。

(右手前から)藤井、緒方、楢崎、そして野中が講師として登場。

 「ALEON」は、新クライミングシューズブランド「adidas | Five Ten(アディダス ファイブテン)」から5月に発売されたばかりのフラッグシップモデル。普段から着用しているという野中も、「滑ることがなくなった。これはすごい」と絶賛した。参加者も「ALEON」を履いて、実際に大会で使われた課題をアドバイスを受けながら登り、スキルに磨きをかけた。参加者の1人は「登る勇気がもっと出たというか、すごく参考になりました。講師の方々は指の使い方や筋肉の隅々まで意識していて、自分も漠然とじゃなく、きちんと意識して登ろうという考えに変わった」と話し、ALEONについては「少し履いただけですが踏み込みがしやすく、先も硬いので粒(のような極小ホールド)の乗りかえもしやすいという印象でした」と、その履き心地とともに、夢の講師陣とのセッションを楽しんだ様子だった。



野中も「滑ることがなくなった」と絶賛するALEON。履き口に設けられた「adidasプライムニットアッパー」が足元を包み込む。(写真=編集部)

 今年もコンペティションのみならず、音楽などによる演出や新たなクライミングセッションも取り入れ盛況に終わったadidas ROCKSTARS TOKYO 2019。世界各国の“ROCKSTAR”たちは、9月の13、14日にドイツ・シュツットガルトで開かれる本戦に集結する。


藤井快コメント
「(2017年が3位、2018年が2位だったが?)1位を獲る前は若干ナーバスだったが、なんとかカウントダウンできてよかった。スーパーファイナルの課題は難しかったが、自分でもすごく落ち着いてた。いつも集中しようとか、自分に対して変に圧をかけてしまうことがあったが、今回はすごく楽しかった。(賞金の使い道は?)『100万円分の焼肉を俺の名前で予約しとけ』って言っていたので、一瞬でなくなるかもしれないですね(笑)嫁からも了承を得て、『楽しんでおいで』って言われている。これからリードのW杯が始まるので、リードに対してもしっかりアプローチし、すべての種目で最高のパフォーマンスを出していきたい」


森秋彩コメント
「賑やかなムードで楽しかった。(スーパーファイナルは)このままどっちも登れなくてずっと続いたらどうしようって思って、絶対登りたいという思いが強かった。(賞金の100万円は?)今日は父の日で、夜にサプライズするつもりだった。プレゼントと手紙は用意していて、あとはいつも行けないようなお店に行けたら。(コンバインドジャパンカップ後の練習に変化は?)リード中心から、3種目同じ割合に変わった。苦手なスピードを強化して、目標の野中さんみたいに、すべての競技で強くなれる選手になりたい」


野中生萌コメント
「スーパーファイナルに行くことはできなかったが、表彰台に乗れたことは嬉しく思っている。ユースの子たちは強く、モチベーションも貰って、もっと頑張ろうという気になる。決勝は固定観念にとらわれてしまった。最初に想定していたムーブをやるだけで、時間内に色んなことをすることができなかった。これからはリードのW杯が始まるので、まずはそっちにいったんシフトして、スピードもやりつつ、全体の調子も見ながらしっかりと世界選手権に向かっていきたい」

<決勝リザルト>

BE A ROCKSTARクラス/男子
1位:小西 桂/1t1z 6 6
2位:白數 裕大/0t3z 0 9
3位:永坂 澪弥/0t2z 0 3
4位:新垣 瑠雄/0t2z 0 11
5位:小福田 透/0t1z 0 2
6位:齋藤 正樹/0t1z 0 3
7位:吉永 利行/0t1z 0 5
7位:平澤 鼓太郎/0t1z 0 5

BE A ROCKSTARクラス/女子
1位:関川 愛音/3t3z 10 10
2位:石井 秀佳/2t3z 2 4 ※予選1位
3位:石井 未来/2t3z 2 4 ※予選4位
4位:森 奈央/2t3z 3 6
5位:工藤 空/1t3z 3 6
6位:高田 こころ/0t3z 0 5
7位:菊池 野音/0t2z 0 7
8位:長谷川 颯香/0t1z 0 3

ROCKSTARクラス/男子
1位:楢崎 明智/2t2z 5 4
2位:藤井 快/2t2z 5 5(スーパーファイナル優勝)
3位:原田 海/0t2z 0 4 ※準決勝4位
4位:緒方 良行/0t2z 0 4 ※準決勝6位
5位:石松 大晟/0t2z 0 8
6位:高田 知尭/0t1z 0 7

ROCKSTARクラス/女子
1位:森 秋彩/2t3z 6 8(スーパーファイナル優勝)
2位:小池 はな/1t1z 2 1
3位:野中 生萌/0t3z 0 4
4位:菅原 亜弥/0t3z 0 11
5位:工藤 はな/0t2z 0 4
6位:金子 桃華/0t1z 0 11

※左から氏名、決勝成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

CREDITS

取材・文

編集部 /

写真

adidas ROCKSTARS TOKYO 2019