<全日本大学野球選手権:明大3-0東洋大>◇13日◇準々決勝◇神宮

今秋ドラフト1位候補の明大(東京6大学)・森下暢仁投手(4年=大分商)が東洋大(東都)を7安打完封し、6年ぶりの4強に導いた。最速は152キロ。逆球を恐れぬ荒々しさで、強力打線を抑えた。東農大北海道オホーツク、佛教大、東海大も15日の準決勝に駒を進めた。日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)は、東北福祉大の津森宥紀投手(4年=和歌山東)を視察。素材の良さに太鼓判を押した。

森下はシーズン前に明確な目標を掲げた。「ストレートの質で勝負できる投手になりたい。きれいな球筋じゃなく、空振りが取れて、打ち取れる球を目指したい」。

その場面が6回2死一、二塁、強打の4番佐藤との打席だった。大学選手権での登板は初。それも主将として休養十分、必勝のマウンドだった。カウント1-2からこの試合最速152キロを内角へ投げ込み、三邪飛に仕留めた。「三振を取れば相手への流れがなくなる場面。1球を大事に投げました」と振り返った。

捕手西野は「外角低め要求でした。狙ったところとは違いましたが、ボールに力がありましたね」と力んだ末の逆球だったと明かした。だが、まさに、これが今までの森下に足りなかった荒々しさと力強さだった。

高校時代からプロのスカウトの評価は高かった。それでも、森下は自信が持てない部分に気づいていた。球の威力だ。だから、春先に掲げたのは、球を最後までしっかり押し込むリリースポイント。それは中指のマメとなって成長を証明している。

4月、大船渡(岩手)・佐々木朗希が衝撃の163キロをマークした直後、森下は言った。「僕は球の質で勝負します」。打者のバットにねじ込むような剛球が、これからの武器になっていく。試合直後、整列した佐藤は「えぐいわ」といいながら手を差し出した。ベビーフェースの森下はにっこり笑って「ありがとう」と言った。スマートできれいなピッチングと思っていては、成長過程の右腕の底知れぬ可能性には気づけない。【井上真】

◆東京6大学対東都大学 両リーグの直接対決は28回目で、6大学の19勝9敗となった。19勝のうち、明大は5勝目(2敗)。東洋大との対決は初めてだった。28回のうち決勝での対決が21回あり、こちらも6大学が14勝7敗と大差をつけている。もっとも両者の優勝回数をみると、6大学が25回で、東都が24回と1差しかない。