「交流戦、ソフトバンク3-0阪神」(13日、ヤフオクドーム)

 阪神が今季6度目の完封負けを喫した。わずか2安打に抑え込まれ、試合時間は今季チーム最短の2時間26分。援護射撃のない中、高橋遥人投手(23)が奮闘。六回までは投手内野安打1本と好投した。しかし七回、グラシアルに決勝3ランを被弾。矢野監督は1球に泣いた若き左腕を責めることなく、次回登板に期待した。

 汗が滴り落ちる。懸命に腕を振り続けた87球目だった。均衡破る3ランを被弾。高橋遥が1球に泣いた。何度も天を仰ぎ、その瞳をギュッとつぶった。こみ上げる悔しさ。うつむいた顔を、上げることができなかった。

 相手の先発・大竹とは同級生で共に左腕。両投手とも闘志あふれる快投で、六回まで打たれた安打は1本ずつ。そんな投手戦で、明暗が分かれたのが七回だ。「任せてもらったのに、投げきることができなくて」。刻めなかった7個目の0。期待に応えきれなかった自分自身が、ただ、ただ許せなかった。

 1死一、二塁のピンチを招くと、グラシアルに内角カットボールを左翼席へ運ばれた。「失投ではない。投げきって打たれた。僕の力不足です」。試合後には、勝敗を分けた1球に肩を落とした。だが、好投した左腕を責める人は一人もいなかった。矢野監督も「頑張った、めちゃめちゃよかった。うまく打たれたボールだし。(今後も)期待している」と言葉を紡ぎ、降板時には温かい拍手が送られた。

 その姿に、誰もが夢を描いた。左のエース到来か-。それほどまでに、逸材としての片りんを見せつけた。ゴロの山を築き、六回までに打たれたのはボテボテの投手内野安打のみ。自己最速タイとなる151キロをマークするなど、キレ味抜群の直球に加え、変化球の精度も光った。

 予行演習はバッチリだった。この日のソフトバンク打線は、2番から8番まで右打者がズラリ。左腕対策のオーダーを前にしても動じない。「対策、攻め方。考えている」。はっきりと言い切ったのは、前回登板があったからだ。

 6日のロッテ戦でも、打線9人中8人が右打者だった。「すごく嫌だったんですけど。でも、前回対戦できたのは大きい」。感じた手応え。経験を自信へと変えた。

 気持ちだけは負けない-と、心に誓い、自らに言い聞かせて上がったマウンドだった。7回5安打3失点。真っ向勝負で挑み、そして今季初黒星を喫した。「打たれたことが全て。負けたら悔しいですね」。思いは決して晴れることはない。ただ、この敗戦を成長への一歩に。顔を上げたその先に、いくつもの道が続いている。