「交流戦、ソフトバンク2-8阪神」(12日、ヤフオクドーム)

 無我夢中だった。二塁ベース手前まで全力疾走。「打球が見えなかった。周りやコーチャーが盛り上がっていたので(本塁打と)分かった」。阪神・植田は歓喜に沸くベンチを確認し、ようやく速度を緩めてダイヤモンドを一周した。通算275打席目で放ったプロ初本塁打。伏兵の一発で試合を決定付けた。

 4点リードの八回1死二塁。昨季まで阪神に在籍していたソフトバンク・松田遼と対峙(たいじ)した。1-1から3球目、内角低めの直球をフルスイング。完璧に捉えた打球は、右翼スタンド中段に着弾する1号2ランとなった。

 「うれしい気持ちとちょっと恥ずかしいですね」。2軍戦を含め、プロ5年間で一度も放ったことがなかったアーチ。矢野監督は「打撃練習でも、あんなの見たことないんだけど」と冗談交じりに褒め称えた。

 日々の積み重ねが実った一発でもある。春季キャンプでは1軍に生き残るため、守備や走塁、打撃練習に全力で励んだ。序盤から足の裏の皮がめくれて、テーピングでぐるぐる巻き。充実した鍛錬の日々を過ごした。

 上本、北條、ドラフト3位・木浪(ホンダ)らと、し烈な争いが繰り広げられている内野のポジション。手に残った感触を自信に変え、定位置奪取へ奮闘する。