<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク2-8阪神>◇12日◇ヤフオクドーム

大腸がんから再起した阪神原口文仁捕手(27)が、5番DHで復帰後初のスタメン出場を果たし、適時打を含む2安打で勝利に貢献した。

3点リードの7回。2死一、三塁の得点機で2番手高橋純の初球、内角150キロ直球を右前に運んだ。「飛んでくれた方向が良かった。何点差があっても怖い相手。とにかく点を取れるだけ取るという気持ちで打席に立ちました」。昨年7月27日のヤクルト戦(神宮)以来320日ぶりのスタメンで、勝負を決定づけるダメ押し打点をマークした。

1点ビハインドの4回には粘って粘って梅野の決勝弾をお膳立てした。1死無走者でカウント1-1から6球連続ファウル。ベテラン和田の直球、変化球に食らいついて球数を投げさせた。そして9球目の内角143キロ直球を右前にポトリ。当たりは良くなかったが、地道に復活への道を歩んできた男らしい泥臭い安打で、続く6番梅野の逆転2ランを呼び込んだ。

5打席立って今季初のマルチ2安打。三ゴロに打ち取られた6回第3打席も、4球ファウルを打って和田に8球を投げさせ、再び梅野の2点打につなげた。「凡打でも意味のある凡打が打てた」。代打で勝負強さを発揮する男が、フル出場でも「らしさ」を見せた。

苦しいリハビリに励む中でも、後輩への気遣いは忘れない。退院して鳴尾浜に合流。若手を見つける度に立ち止まり、自分を指さして言った。「ちゃんと検査したりして、気をつけた方がいいよ。身近にこんな病気になった選手だっているんだから。良い勉強。人生、いつ終わるかなんてわからないから一生懸命やらないとね!」。明るく話す表情に、曇りはなかった。

本来の5番福留の休養日。矢野監督は、スタメン起用に2安打で応えた姿に「しぶといね。フミ(原口)のそういうバッティングはチームの力にもなる。アウトの打席も何とかしようという粘り強さもフミのいいところ」と評価した。1軍復帰後の打率は、代打も含めて4割ジャスト。やはり背番号94はチームの躍進に欠かせない。【奥田隼人】