<全日本大学野球選手権:東農大北海道オホーツク3-2大体大>◇12日◇2回戦◇神宮

東農大北海道オホーツク(北海道学生)が97年以来22年ぶりに8強に進出した。2点ビハインドの8回2死一、二塁で5番指名打者の榎本竜成(4年=流通経大柏)が左越えに逆転3ランを放ち、そのまま逃げ切った。

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またも逆境を跳ね返した。終盤の8回2死一、二塁、2点ビハインドの状況にも、榎本はあきらめなかった。カウント2-2と追い込まれ、1球ファウルで粘ってからの6球目。低めのスライダーを、器用に下からすくい上げた。打球は一気に左翼スタンドまで伸び、逆転の3ラン。「神宮は観客がたくさんいて、アドレナリンが出た。みんながいいところで回してくれたので、チームのためにという思いが力になった」と振り返った。

初回、3回、4回、7回と、チームは4度も得点圏に走者を置きながら無得点。榎本も7回まで2打数無安打とスイッチが入らなかった。8回に、それまで攻めあぐんでいた先発投手が交代。「ここで流れが来る」と意を決し臨んだ打席で、値千金の決勝弾を放った。前日11日の近大工学部との初戦で今季公式戦1号。1年春以来3年ぶりの1発でつかんだ感覚を勝負どころで取り戻し、人生初の2戦連発でチームを救った。

おまじないが効いた。榎本は昨秋のリーグ戦から、網走市内の寮近くにある5体の地蔵に、お参りすることを日課にしてきた。その秋、初のベストナインに輝いたこともあり、今春もさい銭を入れリーグ制覇を祈願しかなった。今回の大学選手権前には通常5円玉1個だったものを、奮発して100円に増額。「何かの力が働いたのかも知れない。網走に帰ったら、きれいに掃除してあげたい」と感謝した。

リーグ戦開幕2連敗からはい上がり、延長12回サヨナラ勝ちした優勝決定戦を含め、これで11連勝。今大会は初戦を延長10回タイブレークで競り勝ち、今度は起死回生の逆転弾だ。地元埼玉県内の公務員就職を目指す榎本は、今春での引退を考えていたが「少し野球に未練が出て来ました」と苦笑い。野球人生最後のひのき舞台を、全力で駆け抜ける。【永野高輔】

◆全日本大学選手権の北海道勢成績 最高は4強(4度)で、北海学園大が58、60年、札幌大が74年、東海大札幌が17年に記録。ベスト8は今年の東農大北海道を含め16度ある(参加9校で初戦敗退した64年を除く)。