<全日本大学野球選手権:東農大北海道6-5近大工学部>◇11日◇1回戦◇神宮

東農大北海道オホーツク(北海道学生)が延長10回タイブレークの末、近大工学部(広島6大学)に競り勝ち、4年ぶりに初戦を突破した。PL学園OBで18年に就任した“松坂世代”の三垣勝巳監督(39)は就任後、全国初陣で1勝を挙げた。

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道産子のひと振りが、試合を決めた。延長10回2死二、三塁。古間木は、内角のスライダーを思い切って引っ張った。打球は一塁線を鋭く抜け、値千金の2点適時打。「ここを逃したら決められないと思った。全国で1勝できてうれしい」と喜んだ。

先発林虹太(佐久長聖)が4回2失点、5回から登板の2番手伊藤茉央(喜多方)は9回につかまり4回2/32失点。2人で6勝と今春のリーグ戦を支えてきたダブル1年生を、女房役として最後までうまくリードできなかった。だが3安打3打点とバットで取り返し「後輩2人が一生懸命投げてくれていたので、何とか打撃で助けたかった」と安堵(あんど)した。

監督の経験則も生きた。試合前日ミーティングで、三垣監督からは「全国大会というのは『俺がヒーローになるんだ』という強い気持ちで試合に臨まないと、相手にのまれるぞ」とカツを入れられた。98年夏の甲子園、松坂大輔(中日)擁する横浜と延長17回の死闘を経験したPL学園出身の指揮官の“魔法の言葉”。延長10回の重圧のかかる場面で、古間木は「監督に言われたことを思い出し、勇気を持って打席に立てた」と感謝した。

前日10日は、同監督の39歳の誕生日。田辺直輝主将(4年=佐久長聖)を中心に選手全員で集まり「監督に絶対1勝を贈るぞ」と意を決して臨んだ試合だった。教え子からのプレゼントに指揮官は「田辺を中心にずっと“勝ちきる”ことにこだわってやってくれた。粘り強く戦ってくれた」と目を細めた。

今春のリーグ優勝決定戦は、9回に追いつかれながら延長12回サヨナラ勝ち。監督就任後初の全国舞台も、9回に2点を追いつかれながら、延長戦で競り勝った。三垣監督は「指導者として、また大きな経験になりました」。監督と選手の固い絆でつかんだ勝利を糧に、次は97年以来22年ぶりの選手権8強を狙う。【永野高輔】