高校野球の発展や球児の育成に貢献した指導者を日本高校野球連盟と朝日新聞社が表彰する今年の「育成功労賞」に、愛媛県内からは八幡浜工の前監督、千葉啓司さん(60)が選ばれた。「合理的な指導」をモットーに通算25年間、南予地区の5校で監督や部長を務めた。第101回全国高校野球選手権大会期間中の8月15日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で表彰式がある。

 今治西の出身。3年生の夏は4番打者として活躍した。愛媛大会決勝では、前年夏の甲子園で準優勝した新居浜商を破り、甲子園出場を果たした。決勝点は、相手投手がボールをこぼした隙に千葉さんが本塁に走り込んでもぎ取った1点だった。「『やった』という気持ちはあるけど、あまり感動はしないタイプ。そのときそのときが精いっぱいでした」と振り返る。

 筑波大に進学し、野球部に入部。学業に打ち込み、そのうえで野球もする。そんな先輩たちの姿に衝撃を受けた。「高校時代は野球が全てだった。でも、授業そっちのけで強くなるのとは違う野球もあるんじゃないかと思いました」

 大学を卒業後、1982年に野村に教諭として赴任。84年8月に監督に就いた。その後、宇和、八幡浜、宇和島南、八幡浜工の監督や部長を務めた。

 「根性という言葉が苦手」と話す千葉さん。心がけてきたのは「合理的な指導」だ。練習中の声出しでも、とにかく叫ぶのではなく自分から必要な声を出すよう指導した。「根性すらも科学的に考えて練習できないかと模索していました。生徒には、面倒くさい先生だったかな」と笑う。

 県高野連は「緻密(ちみつ)な指導」と千葉さんを評価する。今春まで監督を務めた八幡浜工の選手たちも「選手たちに考えさせる先生。技術を細かく教えてくれました」と口をそろえる。

 現在は高校野球の指導を離れ、大洲で保健体育科の講師を務める。夏に球児たちを応援するのが楽しみだ。「これまで赴任してきた学校の生徒たちが、やっぱり気になりますね」と笑みを浮かべた。(照井琢見)