◆日本生命セ・パ交流戦 巨人11―3ロッテ(9日・東京ドーム)

 巨人に頼もしいエースが帰ってきた。25日ぶりに先発した菅野が、6回2失点でリーグトップタイの6勝目。3カード連続の勝ち越しを決めた。打線も、腰に違和感を抱えていたエースの復活を祝うように、阿部の史上最多“229人斬り”達成となるダメ押し2号3ランなど3本塁打を含む14安打。5月10日以来となる2ケタ11点で強力援護した。

 魂を込めて腕を振った。25日ぶり登板の菅野は初回2死満塁、ロッテ・菅野を外角151キロ速球で空振り三振にねじ伏せた。腰の違和感から復帰登板。不安もある中、いきなり二塁打と四死球で迎えたピンチをしのぎ、復活白星を挙げた。

 「ホッとしています。僕だけの力じゃない。携わってくれた方に感謝したい。初回をゼロで切り抜けられたのは大きかったです」

 最速152キロも、制球を含め本来の状態でないと感じた。2回以降は走者なしでもセットポジションで投球。「探り探りの部分があるのは覚悟していた」と工夫した。女房役は小林でなく炭谷。よく会話した。当初から100球メド。6回98球、4四死球も失点は鈴木の2ランだけに抑えた。

 前回5月15日の阪神戦(東京D)は自己ワーストの4被弾、10失点。大きな故障があるわけでもなく、微妙な感覚のズレが修正できない。一夜明け、プロ入り最大級とも言える精神的ショックを受けていた。

 「今まで自分がいかにセンスだけでやってきたか思い知らされました。打たれても悔しくなかった。自分に寂しくなった。原因は分かっているんですけど、試合になるとできなくなる。実力がないんですよ」

 昨年まで2年連続沢村賞。実力、技術がないはずない。そんな自分を“否定”するほどの高い壁。普段は勝っても負けても新聞記事に目を通すが、屈辱のKOに「読めないです」と失意の底にいた。それでも、責任感の強い男。「何とか乗り越えないと」と立ち上がった中6日の調整中、今度は腰の違和感に襲われた。

 毎朝8時前からG球場でリハビリ。トレーナー陣の懸命の協力でギリギリまで最短復帰を目指したが、こまめに連絡を取った宮本投手総合コーチから「100%になってから。8割で『大丈夫』となっても先は長い」と背中を押され、勇気を持って間隔を空けた。自分を見つめ直し、2軍戦登板なしで心技体を万全にして迎えたこの日。本来の圧巻投球でなくても、勝つという使命を果たした。

 「チームの力になりたい、という気持ちがあって今日投げさせてもらった。目指すところはもっともっと上じゃなきゃいけないんですけど、今日の僕のベストは尽くしたつもりです」

 ヒーローインタビューで注がれた大歓声の「スガノ」コール。みんな待っていた。エースが強くなって帰ってきた。(片岡 優帆)