◆高校野球春季東北大会第3日 ▽準々決勝 明桜4―3学法石川(9日、きらやか)

 準々決勝4試合が行われた。明桜(秋田1位)が学法石川(福島2位)に4―3で勝ち、14年ぶりに準決勝進出を決めた。0―3で迎えた8回に一挙4得点。2死満塁から工藤泰成投手(3年)が左前に逆転の2点適時打を放った。弘前学院聖愛(青森2位)は、成田京平右翼手(3年)のサヨナラ打で東北学院(宮城3位)を4―3で下し、初の4強入りを果たした。準決勝は10日に予定。

 最後の打者を遊撃への併殺打に仕留めると、工藤は捕手の加藤洋平主将(3年)とともに雄たけびをあげながら喜びを爆発させた。3回途中から3番手で登板し、7回6安打1失点、打っても2―3の8回2死満塁の場面で劇的な逆転左適時打を放った。秋田経法大付時代の2005年以来、14年ぶりの春4強に「安打は、自分の思った所に飛んで『やった』というより『やってしまった』という感じでした。最後もみんなで勝ててうれしい」と満面の笑みを浮かべた。

 抜群の粘り強さだ。春の公式戦は地区大会から10戦をこなしてきたが、5試合が1点差で勝利。逆転勝ちも5試合を数える。「接戦を重ねて、苦しい試合でも諦めなければ勝てると思えている」と加藤主将。この日も3点を先行されたが、8回の円陣で主将が「楽しんでいこう」とチームメートにゲキを飛ばした。自らも反撃の右前への適時打を放ち、「県大会の角館戦(8〇7)でも、同じことを言ったら逆転できた。すごいです」と“魔法の言葉”に驚きの表情だ。

 昨年までチームを引っ張ってきた山口航輝(現・ロッテ)のような、強打者はいないが、つなぐ意識は高い。だからこそチームワークを大切にする。輿石重弘監督(56)から「1人の表情が暗いと、みんなに伝染する」と言われると、笑顔を作り、皆で雰囲気を明るくしようと努める。「笑顔になることで気持ちも前向きになれる」と工藤。笑顔の連鎖が打線のつながりを呼んだ。

 春季東北大会で秋田県勢が優勝したのは1987年の秋田経法大付が最後。93年の能代商(現能代松陽)以降は決勝にも進めていない。10日の準決勝は9試合で88得点と打撃好調な鶴岡東。加藤主将は「ここまで来るとどのチームも格上だけど、諦めない気持ちで上回りたい」と言う。驚異の粘り強さで、快進撃の歩みを続ける。(遠藤 洋之)