「競泳・ジャパンオープン」(30日、東京辰巳国際水泳場)

 世界選手権(7月、韓国・光州)の追加選考会を兼ねて行われ、4月の日本選手権で代表内定者がなかった女子100メートル平泳ぎは青木玲緒樹(24)=ミズノ=が派遣標準記録を突破する1分6秒44で優勝し、代表に内定した。男子100メートル平泳ぎはリレー代表に内定していた小関也朱篤(27)=ミキハウス=が59秒12で派遣標準記録を突破して優勝し、個人種目での代表権を勝ち取った。

 戻ってきた。日本選手権で5位に沈んだ青木が堂々の復活優勝。派遣標準記録を0秒04突破しての代表入りに「ギリギリ切れて良かった」と頬を緩めた。前半50メートルをトップで折り返し、その後も先頭をキープ。ラスト25メートルで前に進まない感覚に陥ったが「落ち着こう」とペースを守って手足をかいた。日本選手権の失速は過去の話。目の前のレースだけに集中し、乗り越えた。

 優しく染みわたるみそ味が心の支えだった。前年女王として臨んだ日本選手権の200メートルは準決勝で10位。決勝すら残れなかった。レース後、10年以上指導を受ける平井伯昌コーチに“連行”されたのはラーメン屋。食べながらもらった励ましの言葉を胸に刻んだ。

 しかし、1週間たってもタイムが上がらず師からは「水泳自体も辞めた方がいいんじゃないか」とまで言われた。悩んだ。翌朝、朝食を前に涙が止まらない。朝6時。競泳人生で初めて「行きたくない」と電話をかけた。「話だけするから来い」。平井コーチの言葉に導かれるように、結局気付けばプールへ、そして表彰台のてっぺんへと戻っていた。

 「ラーメンの写真は永久保存です。つらい時に支えてくださった感謝は絶対に忘れない」と青木。北島康介氏らを指導した名伯楽は「こんなに緊張したのは初めて」と苦笑したが、その目はうっすら潤んでいた。