<サーフィン:チャンピオンシップツアー(CT)コロナ・バリ・プロテクテッド>◇第3戦◇25日◇インドネシア・バリ島◇最終日

20年東京五輪の金メダルを目指す五十嵐カノア(21=木下グループ)が、歴史を作った。世界最高峰のプロツアー、CT参戦4年目の五十嵐は3年ぶりに進出した決勝でジェレミー・フローレス(31=フランス)と対戦。15・10-14・63で競り勝ち、アジア人として初めて頂点に立った。CTランキングは前戦の9位から2位に浮上。今季終了時のトップ10(1カ国2人)に与えられる東京五輪の出場権獲得はもちろん、表彰台の真ん中も見えてきた。

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最高の波に乗って、五十嵐が躍動した。準決勝で過去11回も年間王者に輝いたスレーター(米国)を下した勢いを、そのまま決勝に持ち込んだ。2本目、2メートルを超える大きな波で次々とフローターを決め、豪快なレイバックも見せた。乗り切った瞬間にボードをたたきつけ、浜に向かって派手なガッツポーズ。9・10の高得点で勝利を確信した。

「すごいことだよ! 信じられない!」。優勝を決めた後のインタビューでは喜びを爆発させた。シードを決める1回戦では波をとらえることができず3人中最下位。「苦しかったけれど、それがこの結果につながった」。勝ち進むごとに調子をあげ「決勝でピークが来た。この日を一生忘れない」と胸を張った。

16年、18歳でCT選手となった。初挑戦のシーズン最終戦、ハワイのパイプマスターズ準決勝で「尊敬する憧れの」スレーターを破った。しかし、優勝は逃し「決勝に行けて満足した」と話した。この日もスレーターに勝って3年ぶりに臨んだ決勝。今度は勝った。昨年の世界選手権2位になった時「1位でなければ意味がない」と言った通り、勝ちきる強さを見せた。

日本サーフィン連盟の井本公文副理事長は歴史的な快挙に興奮しながら「しっかりゴールを決め、逆算してできる。昨年に比べて体も大きくなり、技術も進化した。今は世界のトップと言っていい」と、その強さを説明した。五十嵐が目標に掲げる「東京五輪の金メダル」が見えてきた。

両肩に日の丸が入ったウエアを着て、金メダルを意識して髪の毛も金色に染めた。「1人でジムに通い、1人で練習してきた。それがあったから、この結果がある」と話した。両親は日本人。米カリフォルニアで生まれ育ったが「僕は日本人だから、日本の五輪で日の丸をあげたい」。CT背番号は五十嵐の50。誰よりも日本を愛する五十嵐が、日本のサーフィン界の新たな歴史の扉を開いた。

◆東京五輪のサーフィン競技 千葉・一宮町の釣ケ崎海岸でショートボード男女が行われる。出場は男女各20人。男子10人、女子8人は今年のCTランクで決定。1カ国2人のため、昨年の男子では16位までが出場権獲得となる。19年世界選手権(宮崎)で大陸別出場権を争い、20年世界選手権上位も出場権を得る。日本は男女各1人の開催国枠を持つが、CT、世界選手権で出場権を得れば開催国枠はなくなる。

◆チャンピオンシップツアー(CT) 世界プロサーフィン連盟(ASP)が運営するワールド・サーフ・リーグ(WSL)の最高峰に位置するツアー。76年にスタートし、15年に名称をWSLに変更。今季から男女ともに11戦をほぼ同時開催する。今年の男子は18年ランク22位までと下部ツアー(QS)上位の計34人が争う。日本選手は男女を通じて五十嵐が初のCT選手。優勝賞金は10万ドル(約1090万円)。