部活動指導における暴力は殴る、蹴るだけではないことを見つめ直すべき出来事が、また起こってしまった。

 茨城県高萩市立中学3年の女子生徒が4月30日に自死した。市教育委員会によれば、生徒が残した紙に、所属していた卓球部の顧問の指導の様子が記されていた。

 市教委が記述内容を顧問に確認したところ、顧問は、部員が練習に集中できていない時などに「殺すぞ」「殴るぞ」などの暴言を部員全体に発したこと、練習態度が悪いと感じた時に何人かの肩を小突いたこと、気合を入れるために道具を床に投げつけたり、物をたたいたりしたことを認めたといい、市教委も「不適切」とした。

 生徒は3月15日から部活に参加していなかったが、学校には通っていた。部活動が自死につながったかどうかは、今後設けられる第三者委員会の調査を待つ必要がある。しかし、顧問の指導が正しかったかどうかは別問題だ。

 2013年、大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将が顧問から暴力を受けて自死した事件が明らかになったことなどを機に、指導で直接的な暴力は認められないという認識は高まりつつある。

 だが、それ以外の言動についての軽率な考え方はまだ根強く、今回の卓球部の指導からも推し量れる。13年に日本体育協会(現・日本スポーツ協会)などが採択した「暴力行為根絶宣言」では、身体的制裁のみならず、言葉や態度による脅迫、威圧についても「スポーツの価値を否定する暴力行為」と定める。文部科学省も、パワハラと判断される言葉や態度による脅し、威圧は許されない指導とするガイドラインを作成している。それが、なかなか浸透しない。

 昨夏には、岩手県立高バレーボール部に所属していた3年生の新谷翼さんが自死した。原因は県教委の第三者委員会が調査中だが、これまでの調査では、顧問が「背は一番でかいのに、プレーは一番下手だな」「どこにとんでるんだ、バカ」などの言葉をぶつけ、顧問も発言をほぼ認めている。

 父親の聡さんは「指導者は悪気もなく、生徒を追い詰める。一人の世界に完結せず、指導者本人が言葉の暴力を自覚できるよう、複数による体制など、誰かの意見が入る機会が必要だ」と話している。