4・5日、ボルダリングW杯第4戦が中国・呉江で行われた。女子はスロベニアのヤンヤ・ガンブレットが開幕4連勝を決め、2位が野口啓代、3位が今季W杯デビューの15歳・森秋彩となった。男子は楢崎智亜が昨年モスクワ大会以来、W杯4度目の優勝を果た…


 4・5日、ボルダリングW杯第4戦が中国・呉江で行われた。女子はスロベニアのヤンヤ・ガンブレットが開幕4連勝を決め、2位が野口啓代、3位が今季W杯デビューの15歳・森秋彩となった。男子は楢崎智亜が昨年モスクワ大会以来、W杯4度目の優勝を果たすと、2位には昨年世界選手権覇者の原田海が入り、W杯自身初のメダル獲得となった。

 先に行われた女子決勝には、野口、森と、W杯開幕前の怪我から復帰した野中生萌が準決勝2位で進出した。勝負の分かれ目は第2課題となる。第1課題を一撃した野口がややリードを奪って迎えたこの課題は、ゾーン後のムーブに苦戦する選手が続出。先頭から5人連続でゾーン獲得のみに終わるも、最後のガンブレットがこれを一撃し、唯一2完登で抜け出すことに成功する。

 第3課題で野口は2つ目の一撃を記録し追走するが、ガンブレットも一撃で寄せ付けない。最終課題でも野口が2トライで登り切るが、ガンブレットが3つ目の一撃を記録し、予選からの全課題完登で開幕4連勝に輝いた。3位に入ったのが、W杯出場3戦目ながら見事な登りを披露した森。最終課題ではスタートのダブルダイノを3トライ目で攻略すると、巧みな身のこなしでそのまま完登し、野中とジェシカ・ピルツ(オーストリア)を抜き去ることに成功。躍動した15歳が、初の準決勝進出から一気に表彰台まで駆け上がった。復帰戦の野中は2完登4ゾーンで4位入賞となった。

女子表彰台=(左から)野口啓代、ヤンヤ・ガンブレット、森秋彩。

 男子決勝には楢崎と原田、藤井快に加え、先日のFISE2019で優勝した土肥圭太が初めてW杯ファイナルに進出した。難関課題が続く中、安定した登りで違いを見せたのが楢崎だった。第1課題をただ1人完登すると、第2、第3課題も連続完登。他の選手が苦戦するパートも彼独特の素早いムーブで攻略し、圧倒的優位で最終課題を迎えた。

 最終課題では、第3課題で微妙な保持として一時は認められなかった完登が日本チームの抗議によって覆され、暫定2位にランクアップしていた原田が圧巻の一撃。逆転優勝にわずかな望み繋いで歓喜の咆哮をあげた。しかし、6トライ以内にゾーンを獲得すれば優勝が決まる楢崎は1トライ目でその条件をクリアし、完登こそならなかったものの今季3度目の正直で約1年ぶりとなるW杯優勝を飾った。原田は2位でW杯自身初のメダル獲得。初の決勝を登った土肥は3位のヤコブ・シューベルト(オーストリア)と同成績ながら準決勝での成績で劣っていたため惜しくも4位、藤井は5位入賞となった。

第1課題をただ1人完登した楢崎智亜。

 一方、3日に同地で行われたスピードW杯第3戦では、男子はドミトリー・チモフェーエフ(ロシア)が昨年年間王者のバッサ・マエム(フランス)との決勝を制して優勝。女子はアレクサンドラ・ルジンスカ(ポーランド)が7秒313という好記録で優勝した。日本勢では先日自身で更新した日本記録に迫る6秒644を計測した藤井の27位が男子最高で、女子では日本記録更新となる8秒904を叩き出した野中の27位が最高だった。

 ボルダリングでは今季最多7人が決勝に進出し、さらに楢崎の金メダルを含め男女で4つのメダル獲得と大きく躍進した日本勢。第5戦は5月18・19日にドイツ・ミュンヘンで開催される。

<ボルダリング>

[男子]
1位:楢崎 智亜/3t4z 7 8
2位:原田 海/3t4z 7 13
3位:ヤコブ・シューベルト(AUT)/1t4z 2 9 ※準決勝4位
4位:土肥 圭太/1t4z 2 9 ※準決勝6位
5位:藤井 快/1t4z 3 18
6位:ヤン・ホイヤー(GER)/1t3z 9 11
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7位:杉本 怜 ※準決勝進出
9位:緒方 良行 ※準決勝進出
17位:楢崎 明智 ※準決勝進出
23位:石松 大晟
40位:井上 祐二
45位:高田 知尭

[女子]
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/4t4z 5 4
2位:野口 啓代/3t4z 4 5
3位:森 秋彩/3t4z 11 9
4位:野中 生萌/2t4z 4 7
5位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/2t4z 6 7
6位:ジュリア・シャノーディ(FRA)/0t2z 0 2
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7位:伊藤 ふたば ※準決勝進出
12位:中村 真緒 ※準決勝進出
45位:大河内 芹香
55位:倉 菜々子

※左から氏名、所属国、決勝成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

<スピード>

[男子]
1位:ドミトリー・チモフェーエフ(RUS)/5秒597
2位:バッサ・マエム(FRA)/5秒810
3位:ルドヴィコ・フォッサリ(ITA)/5秒856
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27位:藤井 快/6秒644
36位:楢崎 明智/7秒094
42位:原田 海/7秒232
54位:楢崎 智亜/7秒798
79位:土肥 圭太/9秒892

[女子]
1位:アレクサンドラ・ルジンスカ(POL)/7秒313
2位:エリーズ・スーザンティ・ラハユ(INA)/7秒607
3位:アヌーク・ジョベール(FRA)/7秒516
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27位:野中 生萌/8秒904
34位:野口 啓代/9秒919
48位:中村 真緒/10秒962
60位:森 秋彩/12秒309

※左から氏名、所属国、成績
※1・2位選手の成績は決勝タイム、3位選手の成績は3位決定戦タイム

CREDITS

篠幸彦 /

写真

IFSC/Eddie Fowke