競泳の日本選手権第6日は7日、東京辰巳国際水泳場で世界選手権(7月、韓国)の代表選考会を兼ねて行われ、男子200メートル平泳ぎは世界記録保持者の渡辺一平(トヨタ自動車)が2分7秒02で初優勝し、世界選手権出場を決めた。2位の小日向一輝(セントラルスポーツ)も派遣標準記録を突破し、世界選手権の代表入り。男子200メートル背泳ぎでは入江陵介(イトマン東進)が1分55秒79で2年連続12度目の頂点に立ち、2位の砂間敬太(同)とともに世界選手権の切符を手にした。

 男子50メートル自由形の準決勝では塩浦慎理(同)が従来の記録を0秒2縮める21秒67の日本新記録を出し、8日の決勝に進んだ。

■狙い通りの効率的な泳ぎ

 大会前から「世界記録を更新する」と豪語してきた男は、昼寝もできないほど緊張していた。男子200メートル平泳ぎ決勝。世界記録を持つ渡辺は「自分自身にプレッシャーをかけていた。今までで一番、緊張した」と振り返る。

 「最初から自分との戦いだと思っていた」。隣のレーンを泳ぐ、この種目4連覇中の小関を、一切見なかった。150メートルのターンまで、自身が持つ世界記録より0秒59、速いペース。ラスト15メートルで伸びを欠き、世界記録に0秒35届かなかったが、会場からは今大会で一番の拍手が沸いた。

 「世界最速のタイムを持つ男」のはずなのに、勝負で勝てない。そんなジレンマに悩まされてきた。リオ五輪では準決勝で五輪新記録を出すも、決勝は6位。日本選手権でもライバルを気にしてペースを落とし、優勝はなかった。だからこそ、今回は「狙ってタイムを出す」とあえて自分にプレッシャーをかけ続けた。決勝レースは「勝負服」の赤ジャージーで臨んだ。

 意識したのは、150メートルまでをいかに効率よく泳ぐか。50メートルごとのストローク数は13、14、15回と、世界記録を出した2年前より「すべて1回ずつ少なかった」(奥野コーチ)。狙い通りの無駄のない泳ぎが驚異的なペースを生んだ。

 世界新はならず、本人は「すごい悔しい」というが、自らの五輪記録を上回っての優勝には大きな意味がある。北島康介の後継者と目されながら勝ちきれなかった22歳が、殻を破ろうとしている。(照屋健)