2016年リオデジャネイロ五輪の競泳男子400メートル個人メドレー金メダリスト、萩野公介(24)=ブリヂストン=が、スペインでの高地合宿参加を直前で取りやめた。指導にあたる平井伯昌コーチが勧めたという。

 「背中を押して残すというのも変だけど、そういうかたちになった」。平井コーチは19日朝、成田空港で報道陣にそう語った。最終的な決断は18日の夜。それまでに萩野からは「合宿でがんばりたい自分と、ゆっくりしたい自分がいる」と伝えられていた。「(萩野が)揺れ動いていたので、今回は日本に残って、ペースを落としてがんばることも必要じゃないかと考えた」と平井コーチは経緯を明かした。

 リオ五輪では日本勢の金メダル第1号に輝いたスイマーも、最近は不調に陥っている。16日に千葉県国際総合水泳場であったコナミオープンでは、自らが持つ日本記録よりも17秒61遅い4分23秒66。8人が進む決勝に7番目のタイムで残ったものの、棄権した。その後、病院で血液検査などを受けたが、異常はなかったという。

 「いい練習は積めているのに、その成果が試合で出ない」というのが平井コーチの最近の評だ。心配するのが気持ちの部分。「メダリストが4年間、モチベーションを保ち続けるのは大変。それが金メダルになるとね。北島(康介)のときもいろいろあった」。アテネ、北京の両五輪男子平泳ぎ2冠の教え子を引き合いに出し、心中を思いやる。

 平井コーチは予定通り、17年世界選手権女子200メートル個人メドレー銀メダルの大橋悠依(23)=イトマン東進=らを連れて合宿に出発した。萩野は母校の東洋大に残り、後輩たちと練習するという。平井コーチは「行かないと決めたことでホッとしているような感じもした。東京五輪をどう迎えたいのか、何のために泳いでいるのかをよく考えるチャンス。自分を見つめ直してほしい」(清水寿之)