ホールドからホールドを掴んでいくクライミングで最もクールなムーブクライミングのようなアドベンチャースポーツは、門外漢が聞いても到底理解できない専門用語の数々で溢れている。熟練のクライマーたちが様々なルートの特長を語り合っている会話に耳をそば…

ホールドからホールドを掴んでいくクライミングで最もクールなムーブ

クライミングのようなアドベンチャースポーツは、門外漢が聞いても到底理解できない専門用語の数々で溢れている。
熟練のクライマーたちが様々なルートの特長を語り合っている会話に耳をそばだててみても、彼らがはたして何処の国の言語を話しているのか分からなくなってくるほどだ。
そのすべての専門用語を紹介するにはある程度の時間を要するが、今回はまずクライミングにおける最も重要な専門用語である「ランジ(ダイノ)」について解説してみようと思う。
「ランジ」とは、クライマーが勢い良く飛び出して次のホールドを掴むダイナミックなムーブを指す。
腕を最大限伸ばしても届かないホールドを目がけ、思い切って宙を飛んで掴みにいく瞬間。それがランジと呼ばれるムーブだ。言葉だけではなかなか完全には説明しきれないので、ページ上部の映像をチェックしてもらえればランジがどんなムーブなのかが分かってもらえるはずだ。

 

ランジを学ぶには、実際にランジにトライしてみよう。

ランジを使って高難易度のビッグムーブを成功させるには、パワー、精度、コントロール、非常に強靭な体幹を必要とする。
もちろん、その瞬間の風向きを敏感に感じ取りながらジャンプする能力が必須であることは言うまでもない。
ランジの最大のチャレンジのひとつは、ホールドに触れた瞬間にどうやって掴みきるかだ。
ホールドまで手が届いたとしても、一定方向へ向かって勢いがついたままの状態では安定しないため、勢いを止めるために逆方向へブレーキをかけなければならないが、それにはかなりのパワーが必要になる。
跳躍の高さが足りなかったり、勢いがつきすぎてしまったり、もしくは単純にホールドを掴みきれなかった場合はどうなるのだろう?- 答えは簡単。引力にまかせて地上へまっすぐ落ちていくだけだ。

ランジはアウトドアでも必要になるが、最も見ごたえがあるのは人工コースのボルダリングイベントで目にするランジだろう。
落下しても怪我をしないように地面には厚いパッドが敷き詰められているので、クライマーは躊躇することなく思い切ってランジに挑める。
このような環境では、プロクライマーたちは “エア・ランジ” を数多く披露する。一瞬身体を完全に宙へ浮かせて次のホールドを掴みにいくのだ。
映像を見てもらえば分かるように、Louder than Elevenが撮影したこの映像でジョン・カードウェル、アレックス・プッチオ、クリス・シャーマ、ショーン・マッコールなどが行っているのはほとんどがエア・ランジだ。