2019年2月10日、東京都・昭島市の「モリパークアウトドアヴィレッジスピードクライミングウォール」にて「スポーツクライミング第1回スピードジャパンカップ」(以下「SJC」)が開催され、会場には前日の雪が芝生に残る厳しいコンディションのなか…

2019年2月10日、東京都・昭島市の「モリパークアウトドアヴィレッジスピードクライミングウォール」にて「スポーツクライミング第1回スピードジャパンカップ」(以下「SJC」)が開催され、会場には前日の雪が芝生に残る厳しいコンディションのなか、男子は池田雄大(千葉県山岳連盟)、女子は野中生萌(XFLAG)が初代王者の称号を手にした。

 

池田雄大 photo by KAZUKI TAKANO

 

 

野中生萌 photo by KAZUKI TAKANO

 

有力選手が順当に決勝進出

前日の雪の影響が心配されたが、当日は雪も止み、大会は無事開催された。午前11時50分頃、大会の計測機器のチェックの影響で少し時間を押して予選がスタートした頃にはまだ、ウォールの周りの芝生や生垣には前日の雪がうっすらと残っていた。選手たちは気温による影響に苦心している様子で、ウィンドブレーカーを身にまとい、カイロを使いながら自分の順番を待っている様子がうかがえた。
予選ではAレーン、Bレーンの2本のトライが認められ、いい方のタイムを採用することができる。そのタイムにより算出された順位が16位までの選手が決勝に進出することができる。

女子予選では野中が9″546と寒さをものともしない好タイムで1位通過。また、伊藤ふたば(TEAM au)が10″221、野口啓代(TEAM au)が11″554で順当に決勝へ進んだ。

男子予選では緒方良行(神奈川大学)が6″935のタイムを叩き出し1位で決勝へ進む。優勝候補の楢崎智亜(TEAM au)が7″069、同じくスピードクライミングの雄であり楢崎智亜の対抗馬として目されていた池田雄大も7″401で決勝へと進んだ。また「アジアユース選手権2018」スピードでも優勝経験を持つ15歳の抜井亮瑛(香芝市立香芝北中学校)が7″448で4位通過、決勝進出を決めた。

男子は波乱の展開、女子は実力者がしのぎを削る

女子決勝トーナメント、野中、野口、伊藤は順調に勝ち進んだ。そこに1月のボルダリングジャパンカップでも6位と好成績を挙げた中村真緒(青山学院大学)が加わり準決勝が争われた。野中と中村の対戦は野中が勝利し、伊藤と野口の対戦ではわずかな差で伊藤が勝利、決勝は野中と伊藤の一騎打ちとなった。決勝で野中と伊藤はほぼ同着にも見えたが野中が9″388、伊藤が9″658、わずか0″27秒の差であったが野中が勝利、スピード初代女王の座に輝いた。

男子決勝トーナメントでは、1回戦、緒方と藤井快(TEAM au)での対戦では藤井が7″011の好タイムを叩き出し緒方に勝利、波乱の展開となった。準決勝に進出したのは勢いに乗った藤井と予選から好調を維持した抜井、順当に勝ち上がった楢崎智亜、池田の4名。藤井と抜井の対戦では6″920の記録を藤井が打ち立て抜井に勝利、決勝に進む。池田と楢崎の対戦では楢崎がミスし池田が勝ち上がった。決勝では絶好調の藤井と今回のスピードジャパンカップにかけている池田の一騎打ちに。藤井が序盤でミス、リカバリーを図るも池田に追いつくことができず優勝は池田。池田は念願の「SJC」初代王者の座に輝いた。

3月にはリード日本一決定戦が開催

「SJC」はボルダリング、リードをはじめとするスポーツクライミング3種目のうち、スピード競技の国内日本一を決める大会。
単種目としては今回が日本山岳・スポーツクライミング協会の初主催大会となる。
1月26、27日に東京都世田谷区・駒沢オリンピック公園で行われたボルダリング日本一を決める大会「スポーツクライミング第14回ボルダリングジャパンカップ」(以下「BJC」)では、男子は石松大晟(Base Camp)が、女子は野中生萌(XFLAG)が優勝を果たしている。野中は「BJC」に引き続き二冠を達成。
「SJC」に引き続き3月2、3日には、千葉県印西市・松山下公園総合体育館でリード日本一の座を争う大会である「スポーツクライミング第 32回リードジャパンカップ」が開催される予定。

優勝者コメント

男子優勝:池田雄大

「SJC」で初代王者になることにこだわっていたので、優勝できて嬉しいです。当日の会場のコンディションもあり、タイムは振るわなかったのですが、勝ちにこだわってやることができた結果が今回の優勝だと思っています。今後は再び日本ランキング首位に戻ることと、世界記録を狙うことを目指して引き続きトレーニングに励みたいと思います。スピードジャパンカップを企画してくれた皆様、感謝しています。応援してくれた皆様、ありがとうございました。

 

池田雄大 photo by KAZUKI TAKANO

 

女子優勝:野中生萌

第一回の開催ということもあって、特別感があって優勝したいと思っていました。初優勝することができて嬉しいです。決勝ではミスをしなければ確実に優勝できることがわかっていたんですが、本来片手で掴むべきホールドを両手で掴むミスをしてしまい勢いを失ってしまったのですが、その後のリカバリーがうまくいったので良かったです。3月のリードジャパンカップでも決勝出場を目指して頑張りたいと思っています。皆さん、寒いなか応援してくださってありがとうございました。

 

野中生萌 photo by KAZUKI TAKANO

 

「スポーツクライミング第1回スピードジャパンカップ」結果

男子
1位:池田雄大(千葉県山岳連盟)
2位:藤井快(TEAM au)
3位:抜井亮瑛(香芝市立香芝北中学校)

 

photo by KAZUKI TAKANO

 

女子
1位:野中生萌(XFLAG)
2位:伊藤ふたば(TEAM au)
3位:野口啓代(TEAM au)

 

photo by KAZUKI TAKANO

 

スピード日本記録

男子日本記録
日本記録:6”92 藤井快(TEAM au)
ジュニア(U20)日本記録:7”29 土肥圭太(神奈川県立平塚中等教育学校)
ユースA(U18)日本記録:7”21 抜井亮瑛(香芝市立香芝北中学校)
ユースB(U16)日本記録:12”22 上村悠樹(東京都山岳連盟)

女子日本記録
日本記録: 9”38 野中生萌(XFLAG)
ジュニア(U20)日本記録: 11”34 中村真緒(青山学院大学)
ユースA(U18)日本記録: 9”65 伊藤ふたば(TEAM au)
ユースB(U16)日本記録: 12”97 鈴木可菜美(千葉県山岳連盟)

THE MOMENTS of 「スポーツクライミング第1回スピードジャパンカップ」

 

photo by KAZUKI TAKANO

 

 

photo by KAZUKI TAKANO

 

 

緒方良行 photo by KAZUKI TAKAO

 

 

楢崎智亜 photo by KAZUKI TAKANO

 

 

抜井亮瑛 photo by KAZUKI TAKANO

 

 

藤井快 photo by KAZUKI TAKANO

 

 

土肥圭太 photo by KAZUKI TAKANO

 

 

池田雄大 photo by KAZUKI TAKANO

 

 

野口啓代 photo by KAZUKI TAKANO

 

 

伊藤ふたば photo by KAZUKI TAKANO

 

 

中村真緒 photo by KAZUKI TAKANO

 

 

野中生萌 photo by KAZUKI TAKANO

 

スピードクライミングとは

スピードクライミングは、ホールドの配置が知らされている高さ15メートルの壁を、安全確保のためのロープが繋がれたハーネスを装着し、どれだけ早く登りきれるかを競う競技。
予選では2回登ることができ、早い方のタイムを使用することができる。
上位16名が決勝に進出し、1回戦ではタイムの早いものと遅いものが対戦するように組順が決められ、トーナメント方式で勝敗を決定する。

「スポーツクライミング第1回スピードジャパンカップ」とは

「スポーツクライミング第1回スピードジャパンカップ」は、スポーツクライミングにおけるスピード競技日本一の選手を決める大会。
2019年1月に行われたボルダリング競技日本一を決める大会「スポーツクライミング第14回ボルダリングジャパンカップ」に引き続き、3月に行われる「スポーツクライミング第32回リードジャパンカップ」とともに2020年に開催される「東京オリンピック」へ向けた「JMSCAオリンピック強化選手」の選考を兼ねる。

大会概要

名称:スポーツクライミング第1回スピードジャパンカップ
主催:公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)
後援:公益財団法人日本スポーツ協会/昭島市/昭和飛行機工業株式会社
主管:公益社団法人東京都山岳連盟
企画・運営:SJC2019実行委員会
協賛: KDDI株式会社/三井不動産株式会社/住友商事株式会社/オリエンタルバイオ株式会社/日本航空株式会社/久光製薬株式会社/牛乳石鹼共進社株式会社/キョーリン製薬ホールディングス株式会社/八海醸造株式会社/日新火災海上保険株式会社/ニチハ株式会社オフィシャルマーケティングパートナー:株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
期日:2019年2月10日(日)
会場:モリパークアウトドアヴィレッジスピードクライミングウォール