(9日、フィギュアスケート・四大陸選手権男子フリー)

 演技が終わると、宇野昌磨はひざから崩れ落ちた。両手両ひざをつき、なかなか立てない。「本当はそのまま寝転びたかった」。持っている力を出し尽くした男子フリーは、今季のルール改正後の世界最高得点となる197・36点。主要国際大会で6戦連続2位だった21歳の平昌(ピョンチャン)五輪銀メダリストが、SP4位からの大逆転でついに頂点に立った。

 冒頭の4回転フリップ、続く4回転トーループを決めた。演技後半のトリプルアクセル(3回転半)からの連続ジャンプで着氷が乱れたが、大きなミスはなし。ステップ、スピンも最高のレベル4だった。「やりきったという気持ちと、(度重なる右足首の負傷で)練習があまりできていないなかでも、ここまで滑れたんだなという思いもあった」

 SPはジャンプでミスして出遅れた。その夜、体のケアを担当している出水(でみず)慎一トレーナーと話し込んだ。そこで、言われた「昌磨(宇野)には(3月の)世界選手権(さいたま市)で1位をとってもらいたい」という言葉に心を動かされた。吹っ切れた宇野は「(演技を)あまり覚えていない」というほど、フリーを無心で滑りきった。

 今までは結果より、「自分の演技をすること」に集中してきた。そんな宇野が「世界選手権は1位にこだわりたい」と言った。「自分のためだけではなく、みんなのためにもなるから。四大陸が終わって、本当に頑張ろうかなと思う」。世界王者へ――。真の頂をめざすスイッチが入った。(大西史恭)