韓国や中国メーカーに押されて苦境が続く国内の造船所が、2020年の東京五輪・パラリンピックの特需に沸いている。ただ、つくるのは船ではない。造船で培った溶接や鋼材加工の技術を生かし、東京周辺で急ピッチで進むインフラ整備の一翼を担っている。

 大型船を建造可能なドックをもつ三井E&S造船千葉事業所(千葉県市原市)。12月中旬、このドックから巨大な鉄製の箱が船に引かれて東京湾へ出ていった。

 箱は「沈埋函(ちんまいかん)」と呼ばれ、長さ約134メートル、幅約28メートル、高さ約8メートル、重さは約3千トン。同事業所だけでなく、自衛隊向けの艦艇をつくる三菱重工業横浜製作所(横浜市)も建造を担当。計七つを海に沈めてつなぎ、海底トンネルとなる。東京・有明地区と、五輪で馬術の競技会場になる人工島の中央防波堤とを結ぶ予定だ。三井E&S幹部は「船はもちろんだが、インフラ事業も造船所の重要な仕事だ」と話す。

 日立造船堺工場(堺市)では、五輪のボート競技やカヌー競技会場周辺の水門をつくっている。同社は造船事業を造船大手ジャパンマリンユナイテッド(横浜市)に移管済みで、堺工場は産業機械や水門を手がける工場に転換した。