2020年東京五輪・パラリンピックを来年に控え、東京都や国が競技施設の大会後の活用方法の検討を進めている。大会の「レガシー(遺産)」として市民に利用してもらう考えだが、具体的な活用方法が決まっていなかったり、赤字が見込まれていたり、課題は少なくない。(斉藤寛子、野村周平、井上裕一)

 水球の会場になる「東京辰巳国際水泳場」(東京都江東区)は大会後の活用方法が決まっていない。

 1993年の開館以来、競泳の国際大会や日本選手権の会場になり、数々の記録を生んできた国内トップクラスの都の施設で、都水泳協会などは「一般の愛好者や障害者が使えるよう、これまで通りプールとして存続してほしい」と要望している。ところが、ことはそう簡単ではない。

 一つは施設の老朽化だ。都は、大会後もそのままプールとして使う場合、約27億円の改修費が必要になると試算する。さらに、大会のために、約500メートル離れた場所に「東京アクアティクスセンター」が建設され、競泳、飛び込み、アーティスティックスイミングの会場となることが事態をややこしくしている。

 センターは三つのプールや5千席(大会時は1万5千席)の客席を備えており、国際水泳場と機能が重なる。有識者でつくる都のスポーツ振興審議会では、「両施設には異なる機能を持たせるべきだ」との意見が根強い。

 そんななかで浮上しているのが、国際水泳場をアイスリンクに改修する案だ。都スケート連盟などによると、羽生結弦選手の活躍などでスケート人気が高まっているのに、都内で一年中利用できるリンクは民間の4施設だけ。希望しても練習ができない子どもがたくさんいるといい、連盟や地元の江東区はこの案を都に要望している。

 ただ、改修には約44億円かかり、プールとして維持するのに必要な費用を20億円近く上回る。都は体育館への改修を含めて3案を検討中だが、絞り込みの期限も決まっていない。いずれの場合も、大会後の年間収支は赤字となる見通しだ。

■使い勝手が悪い

 活用方法が決まっていても、「お荷物」になるのではないかと不安が尽きない施設も多い。

 メイン会場として1566億円かけて整備中の新国立競技場(新宿区、渋谷区)は、大会後にサッカーなどの球技専用に改修する。建設にあたる日本スポーツ振興センター(JSC)は、年24億円と見込まれる管理維持費の足しにするため、事業運営権を民間事業者に売却する予定だ。

 しかし、経費高騰が世論の反発を買った旧建設計画を白紙撤回して建設費を抑えた結果、新施設には天井屋根や空調設備がなく、使い勝手の悪さが指摘されている。スポーツ庁幹部は「運営権を買ってくれる業者はあるのか」とこぼす。