スポーツ競技団体が「兼業・副業限定」でビジネスの専門家を採用する取り組みが始まっている。きっかけは「カネもヒトもない」というマイナースポーツの日本フェンシング協会。正職員としては確保が難しい優秀な外部の人材を登用し、「スポーツムラ」とも呼ばれる団体に新風を吹き込む試みだ。

 「東京五輪後の2030年、40年の選手育成をどうするか。良い例をスポーツ界に広げたい」

 10日、日本フェンシング協会が「兼業・副業」の強化副本部長に採用した高橋オリバーさん(48)は記者会見で意気込んだ。

 高橋さんは日本コカ・コーラで東京2020大会のマネジメントを担当し、前職のナイキでもスポーツに関わってきたビジネスマン。会社の理解を得て本職をこなしつつ、月4日ほど、土日を中心に選手にヒアリングをし、東京五輪後の強化プランを考える仕事に関わることが決まった。

 競技経験がないのに、強化トップに近い職に就く異例の配置。ただ、応募者1127人の中から面接を行い、採用を決めた五輪2大会連続メダリストの太田雄貴会長は強気だ。

 「強化本部は良い選手やコーチがなるイメージだが僕は違うと思う。フェンシングをどう育てるかを考えるのが仕事になる」

 フェンシング協会が兼業・副業限定でビジネスマンを中心に四つの職種を公募したのは昨年10月。「月4回、日当1万5千円程度」という条件だった。太田会長は「正職員では雇えないような優秀な人材を、兼業や副業なら雇えると思った」と狙いをあかす。

 フェンシング協会の取り組みを支える転職サイト「ビズリーチ」によると、すでに20を超える競技団体から「兼業・副業に興味がある」と問い合わせがきているという。