南米大陸最高峰アコンカグア(標高6961メートル)の登頂とスキー滑降に向けて、山頂をめざしているプロスキーヤー三浦雄一郎さん(86)には、遠征での楽しみがある。山頂近くでのお茶会だ。86歳が困難に挑み続けるひけつには、「山を楽しむ」姿勢がある。

 遠征隊がベースキャンプ(4200メートル、BC)に滞在していた現地時間の16日、BCより先で使う食材の確認をしていた中島健郎さん(34)に、三浦さんが声をかけた。「お茶会の練習をしよう」

 お茶会は、エベレスト登山の際のテントでも実施した隊の「恒例行事」の一つだ。今回も「山頂アタック前に」と計画しており、標高6千メートルを超すテント内で使うため、京都の抹茶やお茶をたてる道具を持参している。

 中島さんが「三浦隊」に参加するのは初めて。ダイニングテントで始まった練習では、慣れない手つき。「これでいいのですか?」と不安そうな中島さんに、三浦さんは笑顔で見守りながら手ほどきした。

 できあがると、まずようかんを一口。そして、茶わんで飲んだ三浦さんは「けっこうなお点前で」。たまたまテントに入ってきたアルゼンチン人の現地ガイドのハビエル・ベガさん(33)にも薦める。「Good!」と好評だった。

 三浦隊は手巻きずしや鍋など、高峰での和食が名物だ。三浦さんは「山を楽しみながら、半分苦しみながら、登り続けたい」と話す。(金子元希)