今シーズンのNFLプレーオフも、いよいよ佳境に入った。残るは4チームのみ。現地1月20日(日本時間1月21日)に行なわれるカンファレンス・ファイナルで、2月3日のスーパーボウルに進出する2チームが決まる。

 ここまで駒を進めてきたのは、アメリカン・フットボール・カンファレンス(AFC)はカンザスシティ・チーフス(12勝4敗)とニューイングランド・ペイトリオッツ(11勝5敗)、ナショナル・フットボール・カンファレンス(NFC)はニューオーリンズ・セインツ(13勝3敗)とロサンゼルス・ラムズ(13勝3敗)。各カンファレンスでそれぞれ第1、第2シードがベスト4進出という順当なマッチアップとなった。

※カッコ内は今季レギュラーシーズンの成績。



史上3人目の50TDをマークしたチーフスQBパトリック・マホームズ

 また、今回のカンファレンス・ファイナルは「新旧クォーターバック(QB)対決」という、わかりやすい構図でも注目を集めている。AFCでは、41歳のQBトム・ブレイディ(ペイトリオッツ)と23歳のQBパトリック・マホームズ(チーフス)が対決。18歳差のQB対決は、NFLポストシーズンで過去最大だ。

 今季のペイトリオッツは開幕3戦を1勝2敗でスタートを切るなど、かつての怖さは陰を潜めていた。しかし、そこから白星を重ねて11勝5敗と驚異の快進撃。第2シードを確保したのはさすがだ。

 名将ビル・ベリチックがブレイディとコンビを組んで以来、彼らはスーパーボウルに8度進出している。ただ、そのうちアウェーでカンファレンス・ファイナルを戦って勝利したのは2001年と2004年しかない。これまでペイトリオッツが何度もNFLを制してこられたのは、ホームフィールドアドバンテージを確保してきたことが大きかったとも言える。

 今シーズンのレギュラーシーズンでは第6週にチーフスと対戦して、43-40で勝利を収めた。ただ、この時はペイトリオッツのホーム。今回のカンファレンス・ファイナルの舞台は、アウェーチームが勝つのが難しいとされるチーフスの本拠地アローヘッド・スタジアムだ。下馬評では、チーフスが有利と言われている。

 QBの個人的なスキルという点でも、軍配が上がるのはマホームズのほうだ。強肩ぶりはアマチュア時代から知れ渡っていたが、プロ入り後はサイドスローで相手ディフェンダーの脇の横を通すパスを投げたり、タックルを受けながら逆手の左で投げるなど、機動力を生かしたプレーも披露している。

 まるで遊んでいるかのような大胆なプレーぶりは、殿堂入りQBブレット・ファーブ(元グリーンベイ・パッカーズ)と比較される。だが、「何でもできる能力」という点では、現在最高のQBと評されるアーロン・ロジャース(パッカーズ)と似ているかもしれない。今季はプロ2年目ながら、NFL史上3人目の50タッチダウン(TD)をマーク。チーフスの正QBになったのが初年度とは思えぬ飛躍ぶりには驚かされる。

 また、マホームズのサポーティングキャストも豪華だ。小柄ながら爆発的な俊敏性を誇るWR(ワイドレシーバー)タイリーク・ヒルや、類まれなレシーブ能力を兼備するTE(タイトエンド)トラビス・ケルシーなど、レシーバー陣の豊富さはNFLナンバー1と言えるだろう。3年連続のスーパーボウル出場を狙うペイトリオッツは、このチーフスの得点力にどう対抗するかがカギとなるに違いない。

 ちなみに、本コラム執筆時点での現地日曜日の天候は、極寒になる可能性が高い。気温はマイナス10度からマイナス17度になるとも言われているため、寒さによるミスの有り無しが勝敗の行方を左右するかもしれない。

 一方、NFCのカードも新旧QB対決に脚光が当たる。セインツのドリュー・ブリーズは1月15日に40歳になったばかり。対するラムズのジャレッド・ゴフはプロ3年目の24歳。ふたりの年齢差15歳9カ月は、NFLプレーオフ史上3位の大きさである。

 こちらもAFCと同じく攻撃力自慢の両軍だが、やはり勝負のカギとなるのは「ラムズのディフェンス陣がいかにブリーズを止められるか」だろう。なぜならば、今季のブリーズは衰えを微塵も感じさせない高水準を維持しているからだ。

 パスの成功率は、驚愕の74.4%。自身が昨年記録したNFL史上1位の数字をあっさりと更新し、5度目の70%超えも成し遂げた。QBのパフォーマンスの指標となるパサーレーティングも、リーグトップの115.7。今季レシーブで1405ヤードをマークしたWRマイケル・トーマスとのホットラインは、NFLでも屈指の破壊力を誇っている。

 ラムズはブリーズにプレッシャーを与えるためにも、ディフェンスではDT(ディフェンスタックル)アーロン・ドナルドのプレーに期待したい。「現在最高のDT」と称されるドナルドは、1対1のシチュエーションで誰も止めることができない選手と言われている。DTというポジションは、本来サック数は少ないのだが、それでも20.5サックをマークした。ドナルドがブリーズにどう襲いかかるのか、目が離せない。

 また、ラムズのオフェンスの多彩さも注目だ。プロ3年目のQBゴフは今季リーグ4位のパス獲得距離4688ヤードを記録。個人成績で軒並みリーグ上位の数字を残している。ただし、ゴフのアウェーでの成績がけっして高くないのは気になる点だ。TDはわずか10個で、パサーレーティングも82.7と低いのに対し、インターセプトは9個も喫している。

 カンファレンス・ファイナルという大舞台にもなると、ファンのクラウドノイズ(※)はさらに大きくなり、とくにアウェーのラムズ・オフェンス陣にとっては厳しい環境となる。ホームフィールドアドバンテージを持つセインツは、本拠地メルセデス・ベンツ・スーパードームでのプレーオフで現在7連勝中。ラムズは今季レギュラーシーズンでもセインツのホームで35-45と敗れているので、このカンファレンス・ファイナルも難しい試合となるだろう。

※クラウドノイズ=ホームの観客が相手チームのディフェンス時に大声を出して、コミュニケーションやタイミングを狂わせる行為。

 54回目となる今季のスーパーボウルは、アトランタのメルセデス・ベンツ・スタジアムで開催される。その大舞台への切符を掴むのは、はたしてどの2チームか。

 経験豊富なブレイディとブリーズによる史上初の「40歳同士のQB対決」となるのか、あるいはNFL新時代の幕開けを意味するマホームズとゴフのバトルとなるのか、それともベテランvs若手の世代闘争となるのか--。「ファイナル4」の幕が切って落とされる。