壁を3Dスキャンすることで、WEB上での課題閲覧を可能にした「OnlineObservation(オンライン・オブザベーション)」。OnlineObservationとのコラボレーションでお届けする本連載では、膨大なアーカイブの中から厳選した魅力的な課題を紹介していく。このサービスを体感していただくことはもちろん、この課題に携わった方々の思いなども感じてもらいたい。

 本記事では、OnlineObservationの更なる技術をご紹介する。それはクライミングジムの丸ごと3Dスキャンだ。対象は昨年12月にショッピングモール内にオープンしたばかりの「ロックメイト松井山手店」(京都府・京田辺市)で、ファーストセットの壁が全てスキャンされた。まるで実際にジムに訪れたかのような感覚で、様々な壁、課題をオブザベーションして楽しんでいただきたい。

Vol.7「ロックメイト松井山手店 丸ごとスキャン」


 いかがだろうか。壁の枚数やそれぞれの高さ、傾斜、課題の数はもちろん、キッズエリアの熊のぬいぐるみなど、印象的なオブジェなども含めて3D化されている。店長の福本さんは「最初は『そんなことできるの?』って正直思いましたが、いざこれを見た時は衝撃でした。これで遠方の方でもロックメイトに興味を持ってもらえると嬉しいです。今回スキャンしていただいて幸運でした」と話す。ジムの壁全体を真上から見下ろすとどうなっているのか?その疑問に答えられるのも、本サービスの特徴の一つだ。

 そもそもロックメイトといえば、同年2月にも滋賀県大津市に大津店をオープンさせており、いま勢いのあるクライミングジムの一つ。いずれもキッズパークを併設するなど敷地面積が広く(松井山手店は延床面積約600平米)、壁も豊富に取り揃えている。課題には大振りなホールドであるハリボテがふんだんに使用されており、全体的な規模は全国でも有数だ。福本さんによると、松井山手店は「ショッピングモール内にしては4.5~5.3mと壁を高くとることができました。大阪からのアクセスが良いので、色々な地域の方に楽しんでもらえるようなジムになったんじゃないかなと思っています。(モール内への進出については)モールの中にボルダリングジムというのは徐々に増えてきていて、成功されているところもあり、いつかうちもやりたいなと考えていました」という。

 新規ジムを1年間で2店もオープンさせるなど、昨今の国内クライミングジムの中でとても印象的なロックメイトだが、目指すのは「誤解を恐れずに言うと『ボルダリングの大衆化』です。色々な人が色々な課題に気軽にトライできて、クライミングをする日常が常に当たり前になることが最終的な目標です。そのためにはすごく入りやすくなければいけないし、パッと見たときにどんな人でも登りたいなっていう壁をいつも作っておきたい。ロックメイトには『多くの人に登ってもらいたい』というマインドを持って働いてくれているスタッフがすごく多いので、スタッフのホスピタリティも自慢の一つです」と福本さんは続ける。「広くて、壁やホールドが豪華」だけではない、ロックメイトの今後の展開にも注目だ。

 さらに、丸ごとスキャンとは別にオープニングセットのメイン課題もご紹介したい。登場するのは真っ赤で巨大な円柱型のハリボテが印象的な4級課題。OnlineObservation開発者の筒井氏によれば、「北米大陸で最近話題となった『円柱ボテ』が早くも日本に登場しました。国内どこを探してもここにしか無い、と断定しても差し支えないのではないでしょうか」という。この、日本が世界に誇るホールドブランド「UNDER BLUE HOLD」の特注品を用い、著名セッター・岩橋由洋さんが創り上げた課題がこちらだ。
<3Dスキャン>


セッター:岩橋由洋
グレード:4級
使用ホールド:UNDER BLUE HOLD

 首都圏に2店舗を構える「ドッグウッドクライミングジム」のオーナーであり、W杯でのセット経験もある岩橋さんは、この課題について「まずロックメイトさんからこのハリボテをメイン課題に出したいというリクエストがありました。目立つ場所にあった方がお客さんもトライしやすいですし、マントル(※)のできる壁があるジムは少ないので、それもできたら面白い、というのもあってここにラインを引きました。グレードも中級者をメインとしつつ、初級者の方の目標にもなりやすいという狙いから4級に設定しました」と説明する。

※体を手で引き上げて岩の頂上などに乗りあがるムーブ



 このハリボテについては「大きいので壁面の広さがあってこそ活きると思います。どの傾斜でも使えそうな保持感で、色々なことができる分、使いどころに悩まされそうです。向きを逆にしても面白そうですね。緩傾斜だとトウやヒールで殺していくような課題、強傾斜だとダイナミックに持って動くような課題も作れそうです」と話してくれた。今後、このようなハリボテを目にする機会が増えてくるかもしれない。

 ロックメイト松井山手店に興味を持たれた方は、OnlineObservationで下見をしつつ、課題がなくならないうちにぜひ訪れてみてほしい。<ムーブ動画>

OnlineObservation(オンライン・オブザベーション)

3D化された課題の写真や動画をPC・スマホで自由に“オブザベ”でき、かつ今までになかったライブラリとして誰でも共有、自由に投稿も可能な新時代のサービス。クライマーが閲覧することはもちろん、ルートセッターの課題ライブラリとして、クライミングジムのPR効果を狙ったメディアとしても活用されている。

CREDITS

取材・構成・文

編集部・OnlineObservation