南米大陸最高峰アコンカグア(標高6961メートル)の登頂とスキー滑降に向けてアルゼンチン入りしているプロスキーヤー三浦雄一郎さん(86)に、朝日新聞記者が同行しています。

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 今回の遠征で、よく出合う動物がいる。馬とロバの交雑である「ムーラ」だ。重い荷物を背負って山道を運んでくれる。三浦さんの遠征にも欠かせない存在だ。

 ベースキャンプ(BC)のプラサ・アルヘンティーナ(4200メートル)近く。遠征11日目の12日、三浦さんが高度に体を慣らす高度順化のために歩いているとき、20頭余りのムーラの列が、ザッザッと音を立てて通り過ぎた。背に大きな荷物をくくりつけ、BCに向かっていった。

 しばらくすると、今度はほぼ荷物のない状態の列がやってきた。ふもとまで下るとみられる。最後尾は男性2人がそれぞれムーラに乗り、列を進めていた。BCに到着すると、ムーラは目隠しをされていた。興奮して暴れないようにするためだという。

 アコンカグアでは荷物の運搬にムーラがよく使われているため、周辺では毎日、こうした光景が見られる。三浦さんが1985年に登ったときの別ルートのBCは「プラサ・デ・ムーラス」(ムーラの広場)と呼ばれている。

 今回、三浦さんの遠征隊はヘリコプターでBC入りしたが、ヘリには重量制限があり、全ての荷物は運べなかった。そこで、BCより先で使う荷物はムーラで運ぶように計画。くくりつけることを前提に大きなダッフルバッグに詰めた。

 ヘリで10分ほどの道のりでも、ムーラだと2日かかる。このため、三浦さんは早めに荷物をまとめ、ムーラに預けた。ムーラ4頭が運んだ荷物計186キロはBCに無事に着いていた。三浦さんは「彼らのおかげで助かる」と感謝していた。下山時もムーラに荷物を預ける予定だ。(金子元希)