平成30(2018)年4月22日。仙台市中心部の東二番丁通は、10万8千もの人であふれた。平昌五輪フィギュアスケートで金メダルに輝き、五輪2連覇を成した羽生結弦選手(24)の凱旋(がいせん)パレードだ。この時の会見で、こう語っている。「僕が仙台でスケートを続けられるようになったのは、荒川(静香)さん(37)がトリノ五輪で優勝してリンクへの支援があったから」

 あまりに知られた話だが、2人の金メダリストは仙台市泉区のリンクで育った。指導したのは、名コーチと名高い長久保裕さん(72)。当時をこう振り返る。

 「本当に、こんな田舎でフィギュアなんて習う子がいるんだろうか」。当時終点だった地下鉄の八乙女駅に降り立ち、目の前に広がる風景に途方に暮れた。平成を迎える直前、昭和63(1988)年8月のことだ。