敗北に涙した平昌(ピョンチャン)五輪から1年。スノーボード女子の鬼塚雅(星野リゾート)が、再出発の冬で輝きを取り戻している。板も、ウェアも、ゴーグルも全部変更。リベンジのシーズンだ。

 昨年12月に中国の張家口・密苑であったスロープスタイルのワールドカップ(W杯)で、初優勝を飾った。「前半のジブ(障害物)セクションで良い点数を出すことができたので、それが勝因かな」。2013年にW杯デビューを果たしてから、19戦目(ビッグエアを含む)でようやくつかんだ頂点だった。

 ただ、「初優勝って聞いても、うれしいっていうより逆にがっかり」。冗談めかしたように笑って、「こんなに長い間、1位を取ってなかったんだって。(今まで)2位をたくさん取りすぎました」。

 昨年2月に初めて挑んだ五輪のことは、「思い返したくない」と言う。表彰台の有力候補の一人に挙げられていたが、スロープスタイルで19位、ビッグエアで8位。惨敗だった。「終わった瞬間の気持ちとまだ一緒。昨日のことのように悔しい。どちらかと言うと、もう忘れたいんですけどね」

■痛恨の記憶がエネルギー

 ただ、この痛恨の記憶こそ、今季のエネルギーだ。「悔しい思いをしたからこそ、しっかりやり直した」。五輪後は練習量を少しセーブするつもりでいたが、やめた。「やっぱり、あれじゃ終われねーって思って。もう、あんな思いはしたくない。今もアクセル全開です」

 道具を全て変更したのは、再出発の第1歩として。一線級の選手にとっては決して小さな決断ではない。例えば、板は最大手メーカーから、米国発祥のブランド「ナイトロ」へ。他にもウェアや手袋を含めて全身リニューアル。以前の道具に不満があったわけではないが、「ダメだった五輪から、全てを変えたくて。心機一転的な」。

 一新した道具に「やっと慣れ終わったみたい」というのが昨年11月だった。中国・北京であったビッグエアのW杯で、女子屈指の大技「バックサイド・ダブルコーク1080」(縦2回転、横3回転)を自身初めて大会で成功させて2位。「めちゃくちゃレベルアップしました」。手応えは十分だ。

 確かな成長の実感から、「少し余裕を持てるようになりました」とも。「(前は)技のことしか考えていなくて、もうそれだけ。いっつも『やばい、やばい』って焦っていた」。今は、他の選手の滑り、自分の板のネジの締まり具合、いろんなことが視界に入るようになってきたという。

 目下の焦点は、2月に米国である世界選手権。狙うのは、3大会連続の表彰台、2大会ぶりの頂点だ。(吉永岳央)