スピードスケートの全日本スプリント選手権が29日、明治北海道十勝オーバルで開幕した。女子は小平奈緒(相沢病院)が500メートルで37秒50の大会新記録をマークし、総合トップ。1000メートルで1位になった高木美帆(日体大助手)が小差の総合2位につけた。大会は2日間で500メートル、1000メートルを2回ずつ滑り、総合得点を競う。

 2人は、1カ月半前にもこのリンクで行われたワールドカップ(W杯)で短距離2種目を戦っている。500メートルを2回とも制した32歳の小平奈緒と、1000メートルで3位の小平を上回る2位に入った24歳の高木美帆。国内のスプリント女王を決める舞台で、再び相まみえた。

 最初の500メートル。高木美が37秒98をマークすると、二つ後ろの最終組で滑った小平は37秒50の大会新をたたき出した。小平は1種目目で0秒48のリードを奪った。

 中距離が得意の高木美にとって、500メートルで五輪金メダリストと差がつくのは織り込み済みだ。しかも、W杯では小平が37秒29だったのに対し、自身は38秒22と1秒近い差をつけられていた。それが、この日は約半分に縮まった。高木美は「もうちょっといけそう」と満足げ。小平は「氷を押すタイミングが合わず、うまくかみ合わない部分があった」と語った。

 好不調は続く1000メートルにも表れた。いつもならスピードに勝る「前半型」の小平が、200~600メートルのラップタイムでも引き離していたが、この日は0秒04上回っただけ。「後半型」の高木美にラスト1周で逆転された。500メートルで作った0秒48の貯金は、0秒015まで縮まった。

 「競い合えることは、見ている方もやっている方も楽しい」と小平。高木美は「小平選手のベストタイムと比べたら、こんな差にはならない。だから一喜一憂していない」と話す。

 2人は平昌五輪でともに金メダリストとなった。お互いについて聞かれれば答えるが、めざすものは違う。

 昨季世界選手権を制した高木美は、再びオールラウンダー世界一の称号を得ることに加え、スプリント界でも一勝負しようと燃えている。小平の目標はあくまで500メートルの世界記録更新だが、国内では負けられない意地もある。五輪を終えてもなお、高みを見据える8歳差の2人は30日、今年最後の勝負に臨む。(榊原一生)

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■全日本スプリント選手権

 短距離日本一を決める大会。500メートルと1000メートルを2日間で各2回滑り、4レースの総合得点で競う。500メートルのタイムがそのまま得点となり(35秒なら35点)、1000メートルは、500メートル換算のタイム(80秒なら40点)が得点となる。4レースの得点を足して、最も点数が低い選手が総合優勝。

 これに対し、全日本選手権は500メートルから1万メートル(女子は5000メートル)まで、短~長距離の4種目で総合得点を競う。主に中、長距離選手が出場する。