(24日、フィギュアスケート全日本選手権・男子2位)

 会場中の視線を集めて、宙へ。高橋大輔(関大ク)が冒頭、今季初の4回転トーループに挑んだ。「(スタートの)ポジションに立つまで悩んで(やるかどうか)決めたい」と語っていたジャンプ。しかし、決まらなかった。

 4回転が跳べるようになったのは、大会2週間前のことだった。現在32歳。4年ぶりに現役復帰した高橋にとって、ぎりぎりの挑戦だった。

 4回転には、特別な思い出がある。銅メダルに輝いた2010年バンクーバー五輪、男子フリー。ショートプログラム(SP)3位につけ、4回転を跳ばない安全策でメダルを狙う方法もあったが、「4回転は男子のだいご味。僕には、必要です」。チャレンジの結果、失敗はしたが、表彰台には上がった。高橋のスケートには、象徴のようにいつも4回転へのプライドが透ける。5年ぶりに戻った全日本でも、その姿勢は変わらなかった。

 「負けてもすがすがしくいられるし、勝ったらうれしい」と語ったのは、開幕直前。勝負を超えて、思いを詰め込んだ。7年ぶりの頂点には届かなくても、高橋を割れるような歓声が包む。挑戦し続けるスケーターへの最大級の賛辞だった。(吉永岳央)