オリンピアンの自覚と経験が、何よりも18歳を飛躍させた。右拳を握りしめてガッツポーズ。坂本花織(シスメックス)が初の全日本女王へ駆け上がった。

 冒頭のフリップ―トーループの連続3回転ジャンプを決めて流れをつかむと、そのままフィニッシュまで伸びやかに演技。参考ながら自己記録を約10点も更新する会心の内容だった。

 ちょうど1年前、全日本で2位に食い込み、平昌五輪への切符をさらった。当時、シニア1年目。「勢い」だったことは本人も分かっている。ただ、世界最高峰のリンクの感触が成長を促した。「五輪(6位の)選手ということで、ちゃんとした演技をしないといけない。そこはすごく考えるようになりました」

 変化の一つが、表現力だ。「ブンブン腕を振り回しているだけだったけど、少し表現にも気を使えるようになった」。得意なジャンプに、細やかなしぐさが加わった。「今年の目標は大人。勢いではなく、一つ一つ考えながら慎重にやってこその大人だと思う」

 この成長が、勝因だった。芸術性などを評価する演技構成点は73・25点。審判への視線にまで気を配って昨年の全日本を6点近く上回り、見守った中野園子コーチを「心の入ったスケートができるようになった」とうならせた。

 「ジャンプの調子は良くなかった」。それでも、大会5連覇を狙った宮原知子(関大)、グランプリ(GP)ファイナルを制した伸び盛りの紀平梨花(関大ク)を抑えてみせた。「すごく自信がつきました」。表彰台の真ん中に、1年前よりグッと大人びたほほえみをたたえる坂本がいた。(吉永岳央)