平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワ(ロシア)との16歳対決を制し、GPファイナル覇者として迎えた全日本。紀平が場内に紹介されると大歓声がこだました。直前の6分間練習でトリプルアクセル(3回転半)を決めるとドッと沸いた。新女王へ、紀平のSPが始まる――。

 が、この時。紀平は直前にスケート靴に巻いたテープが固すぎて違和感を覚えていた。「スタート位置についた時にちょっときついかなって。本当にピンチの状態だった」

 不安は失敗につながった。冒頭のトリプルアクセルを思い切って踏み切る。が、きれいに着氷できず、リンクに横になるほど派手に転んだ。続く3回転―3回転の連続ジャンプも、2本目が2回転になった。

 シニア1年目のSPの曲は「月明かりで目が覚めたけど、ウトウトして夢の中でノーミスしているイメージなんです」。だが、ノーミスは簡単ではない。

 優勝したGPファイナル後。トリプルアクセルについて、「調子をいい状態にもっていかないと、絶対に成功しない」といい、20日の公式練習でも「アクセルだけは靴の柔らかさとかでジャンプが変わってしまう」と漏らした。

 まさかのSP5位発進。「フリーは完璧が求められると思う。でも、まだ巻き返せる。次は靴の調整もきっちりして、笑顔で終わりたい」。GPファイナル覇者の名にかけて、逆転優勝に挑む。(大西史恭)