(21日、フィギュアスケート全日本選手権・女子SP5位)

 直前の6分間練習。紀平梨花が武器のトリプルアクセル(3回転半)ジャンプを決めると、会場がドッと沸いた。新女王への期待がリンクを包んだ。

 迎えた本番。冒頭のトリプルアクセルを思い切って踏み切る。が、転倒。リンクに横になるほど派手に転んだ。続く3回転―3回転の連続ジャンプも、2本目が2回転になった。らしくない、ジャンプになった。

 シニア1年目のショートプログラム(SP)の曲は「月明かりで目が覚めたけど、ウトウトして夢の中で滑るイメージ。夢の中でノーミスしているイメージなんです」。

 ただ、ノーミスは簡単なことではない。

 初挑戦で優勝した今月のグランプリファイナル後。トリプルアクセルについて、「調子をいい状態にもっていかないと、絶対に成功しない」と語っていた。その感覚はとても繊細だ。20日の公式練習でも「(スケート)靴の柔らかさが少し気になる」といい、「アクセルだけは靴の柔らかさとかでジャンプが変わってしまう」と不安を漏らしていた。この日は6分間練習後にテープをきつく巻きすぎてしまい、「スタート位置についた時に固すぎることに気づいた。不安のまま滑ってしまった。それが失敗の原因」と悔やんだ。

 まさかのSP5位発進。「フリーは完璧が求められると思う。次は靴の調整もきっちりして、笑顔で終わりたい」。グランプリファイナル覇者の名にかけて、逆転優勝に挑む。(大西史恭)