平昌五輪で女子カーリングチームがおやつを食べるシーンが注目され、「もぐもぐタイム」は流行語にもなりました。このように、スポーツにおいては、エネルギー補給や疲労回復のため、試合中に軽食をとるこ…

 平昌五輪で女子カーリングチームがおやつを食べるシーンが注目され、「もぐもぐタイム」は流行語にもなりました。このように、スポーツにおいては、エネルギー補給や疲労回復のため、試合中に軽食をとることがあります。

 テニスも例外ではありません。コートチェンジやセットブレークの合間に、バナナやゼリー飲料をとるシーンをよく目にします。ノバク・ジョコビッチ選手は自身の著書で、試合中はデーツなどのドライフルーツを口にすると語っています。

 グランドスラムの男子シングルスは5セットマッチ方式。試合時間が3時間を超えることも珍しくはありません。2018年の7月に行われたウインブルドン準決勝、ケビン・アンダーソン選手対ジョン・イズナー選手の試合は、6時間36分にも及びました。テニスは持久力だけでなく、集中力や判断力も大変重要なスポーツですから、パフォーマンス維持のために軽食をとることも、このようなタフなゲームを戦う上では重要な作戦の一つと言えるでしょう。

タフなゲームを左右する、バナナの効果

 テニスの場合、もぐもぐチャンスは、コートチェンジ休憩の90秒またはセットブレークの120秒です。このわずかな時間で食べられて、速やかにエネルギーになり、ビタミンやミネラルも補給できるものといえばやはり、多くの選手に選ばれるバナナです。必要な栄養素が補えるように計算されたゼリーも良いですが、バナナの良い点は、ある程度の咀嚼を必要とすることです。咀嚼には脳の働きを活発にする効果があるので、判断力やメンタルキープにも一役買います。

 話は少し反れますが、昭和の時代から受け継がれる「バナナはおやつに入りますか?」という質問には、栄養学的観点からこう答えていただきたい。

「バナナはおやつの王様です。おやつ代には含めなくてよいので、張り切ってカバンに入れてください。」

世界の一流企業では常識の「もぐもぐタイム」

 トップアスリートも取り入れている「もぐもぐタイム」。ビジネスシーンにうまく取り入れれば、仕事の効率アップや、良いアイディアにつながることは間違いありません。

 実際に、世界的企業が集まるアメリカのサンフランシスコやシリコンバレーの多くの企業では、デスクで「おやつ」を食べたり、「おやつ」を食べながらミーティングしたりすることが許されていて、社員のために無料の軽食が用意されていることもあります。

 仕事や勉強の能率を高めるために大切なのは、食べた後に血糖値の乱高下が起こらないようにすることです。血糖値の乱れは、集中力を欠く原因になるからです。では、血糖値を安定させ、安定した思考を生む「おやつ」にはどのようなものがあるのでしょうか。

コンビニでも手に入る!ビジネスシーンにおすすめしたい最強のおやつ8選

・バナナ

バナナに含まれる糖質の果糖は、血糖値をゆるやかに上昇させ、腹持ちが良いのが特徴。カリウムやマグネシウムも多く含まれ、気力・体力を使う仕事にはもってこいのおやつです。

・ドライフルーツ

デスクでバナナをほおばるのがはばかられる方にはこちら。砂糖漬けされていないイチジクやデーツ、プルーンなどを選ぶのがポイントです。

・アーモンド

天然のサプリメントとも呼ばれるアーモンド。ビタミン、ミネラル、良質な脂質を含みます。ビタミンの中でも血流をアップさせるビタミンEが豊富。むくみや肩こりに悩む方におすすめです。

・チーズ

ビタミンB2が豊富で、疲労回復や脂肪燃焼の効果が高まります。疲れがたまっていると感じる方におすすめです。

・ゆでたまご

完全栄養食ともいわれる卵はビタミンCと食物繊維を除く栄養素を網羅。中でもアミノ酸のバランスが良いのが特徴。1日1個は食べておきたい食品です。

・野菜スティック

人参、きゅうり、大根など、スティック状になった野菜は、もはやサラダではなくデスク向けの「おやつ」。不足しがちな食物繊維やビタミン類を補いながら、シャキシャキの食感が脳を刺激します。

・ギリシャヨーグルト

たんぱく質が多く、腹持ちが良いヨーグルト。酸味が少ないので無糖でも味わえます。無糖に慣れない方は、少量のはちみつを加えて。

・カニカマ

白身魚と卵白でできたカニカマは消化が良く、手軽にたんぱく質が補給できる優秀アイテムです。筋トレやボディメイク中の方におすすめ。

※食べる量は1日200kcal以下を目安にするのが太らずに間食するコツです。

 間食OK!というと、つい手を伸ばしたくなってしまうのは、スナック菓子やケーキなど。しかしながらこれらのおやつは血糖値の乱高下を招いてしまうため、集中力や情緒は不安定になります。あくまでも、パフォーマンスアップのための間食だということを忘れないでください。

 集中力が求められる日、あるいは長いミーティングの時などは、迷わずもぐもぐタイムを取り入れてみてはいかがでしょう?今までとは違うひらめきがあるかもしれません。(アスリートフードマイスター 菊田恵梨)

※写真は「もぐもぐタイム」のジョコビッチ(Photo by Julian Finney/Getty Images)と食品のイメージ(photo by www.photo-ac.com)