明大伝統の「前へ」か、早大伝統の「アタックル(鋭く飛び出すタックル)」か。ラグビー関東大学対抗戦は12月2日、早明戦を迎える。ともに5勝1敗で並び、勝った方が優勝だ。今季は両校とも原点回帰するように、長く受け継がれ、そして不振の近年は失われつつあったスタイルを取り戻して大一番にたどり着いた。

 「いまの学生に『前へ』と言っても通じない。時代が違いますから」。開幕前、明大の田中監督はそう冗談めかしていた。ふたを開ければ、伝統の縦突進を表すキャッチフレーズそのままのチームをつくり上げていた。

 明大、サントリーで過ごした現役時代はSH。常にFWの近くでプレーしていただけに、FW戦、特にスクラムの優劣が勝敗に直結することは身に染みている。ヘッドコーチだった昨年から、FW指導陣とともに「2年かけてスクラムを積み上げてきた」という。

 「二枚腰」の押しが特徴だ。第1列の中央で全体を束ねるフッカー武井によると「最初に一押しした後、必ず2歩前に出ようと心がけている」。同じくスクラムが自慢だった帝京大戦(18日)では、そこの勝負で圧倒して8年ぶりの勝利を収めた。相手の主将でロックの秋山に「8人がまとまり、最初のプッシュ、さらに2度目のプッシュと僕らにのしかかってきた」と言わせた。

 早大の「アタックル」は「タックル」と「アタック」を掛け合わせた造語だ。相手側に間合いを詰めてタックルを決め、防御で前進して主導権を握るプレー。かつて早大の専売特許で、いまはどのチームも取り組む手法だが、今季の早大はそれを先鋭化させる。

 今季就任した相良監督は付属高の早大学院出身。高校時代からアタックルをたたき込まれた。「春先から防御にこだわってきた。パスが空中に浮いているうちに少しでも前に出ようと」

 帝京大戦(4日)は出足がそろわず45失点を喫して敗れたが、続く慶大戦(23日)で巧みに修正。FW、バックスとも呼吸をそろえて選手間の隙間を狭め、14失点に抑えて快勝した。主将のフランカー佐藤は「明大戦も、ディフェンスで勝つ」と決意を語る。

 早明戦は12月2日午後2時に東京・秩父宮ラグビー場でキックオフ。チケットは完売している。帝京大も5勝1敗で両校と並び、12月1日の筑波大戦に勝てば同率優勝となる。(中川文如)