スピードスケートの今季国内初戦、全日本距離別選手権は26日、長野市のエムウェーブで開幕した。女子500メートルは、平昌五輪金メダリストの小平奈緒(相沢病院)が37秒30で4年連続9度目の優勝を果たした。同五輪で金銀銅三つのメダルを獲得した高木美帆(日体大助手)は小平と0秒68差の2位。女子3000メートルは4分6秒53の大会新で制した。男子500メートルは22歳の新浜立也(高崎健康福祉大)が34秒76で初優勝した。

 今大会はワールドカップの代表選考会を兼ねている。

■「滑りで心を動かせたら」

 女子500メートル。国内開幕戦の最初のレースを制した小平が観客席を見上げて、手を振った。「時間を作って見に来てくれた方々がいた。うれしい」。平日(金曜日)の午後2時に会場まで足を運んでくれた観客に感謝の思いを口にした。

 小平にはある思いがある。「自分の滑りを通して見ている人の心を動かせたら」。平昌五輪女子500メートルを制し、スピードスケート日本女子初の金メダリストとなった。平昌五輪の余韻さめやらぬこの開幕戦は、自身の思いを表現する絶好機だった。なのに、平日の昼開催。小平は大会前、自身のツイッターに「残念な競技日程。もどかしい」と思いを吐露した。

 日本スケート連盟は、大会初日に男女500メートルが組まれる今季国際大会に合わせて日程を決めた。選手強化と、多くの観客に競技の魅力を表現したい選手側の思いがせめぎ合う。

 この日の観衆は1500人。前年の倍に増えた。開催日が違っていれば、小平の加速感やスピード、さらに思いは、より多くの人が感じられたかも知れない。

 レース後、この種目での連勝を29に伸ばした小平は言った。「滑りでもっと人間味も表現できれば、結果だけではない面白さを感じられると思う。何かを乗り越える、そんな姿も示せたら」。滑りに込めたいのはまさに生き様。女王が追い求める理想は果てしない。(榊原一生)