「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

東妻 勇輔 あづま・ゆうすけ
智辯和歌山高→日本体育大
投手・右投右打・170センチ77キロ
1996年4月4日生(22歳)

 

 投手としては小柄な体格にたっぷりの馬力を詰め込み、最速155キロの豪速球を投げ込む。「一番自信がある」というスライダーは通常のものに加えて130キロ台後半から140キロにまでなる高速スライダーも加えた2種類を投げ分ける。

 ピンチの時こそ燃える性格も魅力的だ。昨秋の明治神宮大会ではその持ち味が最大限に発揮された。準々決勝の九州共立大戦では7回に松本からマウンドを引き継ぐと「残り短いイニングなのでリミッターを外しました」と次々と三振の山を築いていく。
特に圧巻だったのは9回裏。前の試合で2本塁打を放った4番・片山勢三(現パナソニック)らクリーンアップを三者連続空振り三振に斬って取り、「気持ちが入ると声が出ちゃうんですよね」と「オラァァァ」と雄叫びを挙げた。勝ち越し点をもらった10回裏は「(タイブレークで)セットポジションだったので」と、多少スピードの落ちるストレートではなくスライダーを冷静に選択し、再び片山を空振り三振に斬って取り試合を締めた。打者11人に対して1安打無四球9三振と圧巻の投球だった。
 2日後の決勝の星槎道都大戦では一転、打たせて取る投球で三振はわずか4個ながら、9回を105球で2安打完封。チームを37年ぶり2回目の優勝に導いた。

 今春はさらなる球速向上を目指した体重増が裏目に出たが、夏場に食事量は減らさずに有酸素系の長距離運動を多くしたり、瞬発力を意識したメニューで4kgの減量と体のキレを取り戻した。最終戦となった筑波大戦では松本の後を受けて2回を無失点に抑えた。ライバルとしてしのぎを削ってきた松本航に通算30勝目をプレゼントし「松本と同じように嬉しいです」と笑みを見せた。
 プロでは「一気に試合に入っていける集中力が長所なので」と中継ぎや抑えでの活躍を描いている。多くの観客、そして歴戦を制してきた強者を相手に、東妻の心の炎はさらに燃え盛ることだろう。

文・写真=高木遊