2020年東京五輪の会場となる神奈川・江の島で開かれたセーリングワールドカップ(W杯)の470級で、男子の岡田奎樹(けいじゅ、22、トヨタ自動車東日本)、外薗(ほかぞの)潤平(27、JR九州)組が初優勝、女子の吉田愛(37)、吉岡美帆(28)組(ベネッセ)が銀メダルに輝いた。2年後への期待が広がる二つのペアには、1+1が2ではなく3にも4にも膨らむような補完関係があった。

 岡田、外薗の「オカホカ」組が結成されたのは昨年8月の国内大会。早大4年だった岡田が「五輪をめざすため(レベルの高い)社会人と組みたい」と候補者を探していると、たまたま相棒不在だった外薗にたどり着いた。

 偶然の産物で生まれた若いペアはめきめき頭角を現し、今年6月のW杯マルセイユ大会で3位に。そして今回、頂点に立った。

 2人っきりで風や波と向き合う。「気を使わなくていい」と口をそろえる相性の良さが躍進の理由の一つだ。かじを握るスキッパー岡田は「僕が色々と意見しても外薗さんが全て受け止め、しかもフィードバックしてくれる」。全身を使って艇のバランスを取るクルー外薗は「うまくいかなかったところを『こうした方がいいんじゃない?』って伝える程度ですけどね」。

 物おじしない岡田と包容力の外薗。好対照な個性は16日の優勝記者会見でもにじんだ。質問が飛ぶと、まず岡田がよどみなく答える。説明不足だと感じた部分を、外薗が一言、二言で端的に補った。

 女子のスキッパー吉田、クルー吉岡の「ヨシヨシ」組は、8月の世界選手権で優勝するなどすでに実績十分。海外での連戦疲れが影響して今回は2位に終わったが「調整不足の中で2位にまとめられた」(吉岡)と前向きにとらえた。

 9歳の年齢差が絶妙に互いを引き立てている。

 13年からペアを組み、16年リオデジャネイロ五輪は5位。翌年、吉田は長男を出産し、その間、吉岡は海外選手と組んだり、フィリピンに語学留学したりして自らを磨いた。

 吉田は復帰後、「吉岡が成長して私をリードしてくれるようになった」と感じている。「私は年なので、もう衰えるばかり。東京五輪に向け、彼女の伸びしろが頼み」。吉岡が返す。「吉岡さんの経験値に助けられている」

 世代は違うが共通の話題もある。「2人とも犬が大好き。会話に困ることはない」と吉田。

 全長4・7メートルのヨットで争う470級は、選手の適正体重が2人合わせて130キロ前後とされる。日本人の体格に適し、東京五輪でメダルが期待される種目だ。1996年アトランタ五輪では女子の重由美子、木下アリーシア組が銀メダル、04年アテネ五輪で男子の関一人、轟賢二郎組が銅メダルを獲得している。(中川文如)