楢﨑明智、19歳。身長186cm、体重60キロの彼は、2017年の世界ユース複合部門で優勝した期待の大型クライマーだ。兄は2016年のボルダリング世界王者・楢﨑智亜。6月に行われたコンバインド・ジャパンカップでは、兄に次いで2位となり、兄弟揃って表彰台に上がるなど、今や世界王者の兄も恐れる存在となっている。

彼の強さの秘密はどこにあるのか、そのポテンシャルに迫るため、取材班は体力測定を実施した。行ったのは「握力」「上体起こし」「長座体前屈」「反復横跳び」「立ち幅跳び」の5種目。19歳の全国平均はこうだ。

握力:41.65kg 上体起こし:30.56回 長座体前屈:47.91cm 反復横跳び:57.77点 立ち幅跳び:231.31cm(文部科学省より)

去年まで高校生だった楢﨑にとって約1年ぶりとなる体力測定。自信のほどは・・・「僕は、球技も苦手だし、走るのはもっと苦手。実は足が遅いんです。何とか全国平均くらいはいけるように頑張りたいと思います。」

運動神経はあまり良くないと自信なさそうな楢﨑が、まず行ったのは握力。クライマーといえば、掴むという動作は欠かせない部分だがその結果は…

「右:58.0kg 左:52.7kg」

全国平均の41.65kgを左右それぞれ10kg以上も上回った。「特別鍛えたりはしていないんですけど、普段登っているのもあって、勝手に強くなっていますね。クライミングをやる中で言えば、最近流行りの滑りやすくてツルツルしているホールドがあるんですけど、力だけで掴まなければいけないので、そういう部分で握力は、重要になってくると思う。ただ、兄もそうなんですけど、クライマーの中ではあまり握力が強い方ではないので、一概にクライミングに握力が大事になってくるとは言えないですね」好調な出だしを見せた楢﨑だったが続く「上体起こし」は34回。反復横跳びは63点、立ち幅跳びは245.5cmと全国平均こそ上回っているものの、特別高い数値ではなかった。そんな中、群を抜いて数値が良かったのは、体の柔軟性を計る「長座体前屈」だ。

「これは余裕で平均超えると思いますよ。自信あります!」

全国平均が47.91cmに対し、楢﨑は65cmを記録し、20cm近くも上回った。

「クライミングをする上で僕にとって今回の体力測定5つの中で1番重要だと思っているのは柔軟性。身長が高い人は平均的な身長の人よりも自分に近い位置にあるホールドに足をかけにくい。もちろん背が高いのは大きな武器ではありますが、その反面、ときにはデメリットになる事も。そこを柔軟性でカバーする場合もあります」

5種目の結果はご覧の通り。()内は全国平均

①握力:右・58.0kg 左・52.7kg(41.65kg)②上体起こし:34回(30.56回)③長座体前屈:65cm(47.91cm)④反復横跳び:63点(57.77点)⑤立ち幅跳び:245.5cm(231.31cm)

握力、長座体前屈に関しては、平均よりも大きく上回っているように見えるが、その他の種目は、同年代の全国平均比べてもさほど差はない。「普段のトレーニングがそのまま結果となった形。ボルダリングをやっていれば、握力は強くなるし、柔軟性というのは、普段から意識してトレーングしている要素なので。」

楢﨑は続けて、こう話した。「実はクライミングってあまり身体能力が高いことは重要ではないと思っています。僕は小さい頃から運動が出来る方ではなかったので、もし、今の子供たちが「どうせ運動苦手だしスポーツなんて」と思っている人がいるとすれば、それで諦めるのは勿体無い。競技をやるのに身体能力が必ずしも高くなくてはいけないというわけではない。僕自身も運動が出来る方ではないので、技術さえ磨けばうまくなれる、世界で戦えるということを伝えたいです」

楢﨑明智、彼はまだ発展途上の19歳。友達から「エヴァンゲリオンの初号機」「進撃の巨人」とも呼ばれていたという大型クライマーは、あまり良くないという運動神経を日々の練習でカバーし、世界を舞台に戦っていることがわかった。「技術を磨けば誰でもうまくなれる」“努力の男”楢﨑明智が運動を苦手とする子供たちに希望を与える、そういう選手になってくれることだろう。

■楢﨑明智(ならさき・めいち)

1999年5月13日生 身長186cm
栃木県出身 TEAM au 所属
世界ユース選手権2017複合部門 優勝
第1回コンバインド・ジャパンカップ 2位

■TEAM au

TEAM au は、日本におけるスポーツクライミングを、子どもから大人まで多くの人が楽しめるメジャーなスポーツとして発展・普及させるべく結成されました。チームメンバーは、すでに国内外の大会で輝かしい実績を残し、世界の頂点をねらう実力派クライマーで構成されています。2016年8月、TEAM auは、文字通り“壁を越える”為の最初の一歩を踏み出しました。今後は、クライミングを愛する全ての人とともに、様々な活動を通じて日本のスポーツクライミングシーンを牽引し、盛り上げていきます。

詳しくはこちら https://climbing-au.jp/