シアトル・シーホークスCBシャキール・グリフィンの双子の弟、セントラル・フロリダ大学出身のシャキーム・グリフィンが、ハンディキャップを抱えながらもNFL入りを果たそうとしている。羊膜索症候群により、4歳の時に左手を切断。以来、左腕の手首から先がない状態で生活をしている。シャキームがNFL入りを果たした場合、1980年代に現行の体制になって以来、初めての出来事となる。

 シャキームとシャキールは区別なく育てられた。フットボールのキャッチの仕方も裏庭で父親に同時に教えられた。シャキームは当時から見事なワンハンドキャッチをキャッチしていたという。高校は、レイクウッドハイスクールに進学。2013年には、S下水流裕太(現オービック・シーガルズS)、DB林直輝(現パナソニック・インパルスLB)、OL島野堅三、3人の日本人を含む世界選抜とアメリカ選抜による、インターナショナルボウルに選出され、第1Qにインターセプトを記録し、42対10の勝利に貢献した。

 大学は2人共に奨学金を与えると約束した、セントラル・フロリダ大学を選択。しかし、シャキールがCBとして先発にしていたのに対し、シャキームはスペシャルチームでしか出場の機会を与えられず、当時のポジションであるSでの出場はなかった。シャキームに転機が訪れたのは3年時、コーチ陣の変更により、守備が4-3から3-4に変更され、OLBにパスラッシュと、パスカバー両方を行う能力が要求された時だった。シャキールよりも7キロ体重が重いにも関わらず、スピードは変わらないシャキームに白羽の矢が立ち、ポジションをLBにコンバートし、3軍から先発へと昇格した。

 

 先発起用されると、特にパスラッシャーとして活躍。12QBサック/16回のプレッシャーを記録し、AACの最優秀守備選手に選出された。10月には利き腕の右腕を骨折した際もヒューストン大学戦に出場し、2回のQBサックを記録。

「障がい者が自ら障がい者であることを受け入れない限り、障がいはない」

プレーの質に関して、障がいを言い訳にしない決意を固めた。7QBサックと、47回プレッシャーをかけ、オールAAC一軍と、オールフロリダ州2軍に選出され、チームはシーズン全勝とピーチボウル制覇を果たした。

 コンバインの招待を受けたのは遅く、1月31日。ドラフトには、6から7順目での指名が予想されていた。しかし、40ヤード走でシャキールと全く同じタイムの4秒38を記録。体重102キロ以上の選手の中では史上最速、今年のLBのうち最速のタイムだった。ベンチプレスは、測定前の本人の目標は6回と控えめながら、1回上げるごとに会場をどよめかせながら、義手を用いて20回を記録。LB中11位タイの記録を残し、現在はドラフト3から4巡目での指名が予想されている。

コンバインの結果を受け、リーグ屈指のパスラッシャー、デンバー・ブロンコスLBボン・ミラーが「あいつと一緒にプレーしたい」と、ツイッターでつぶやくなど、NFLのスター選手も注目を置いている。シャキームがここまでの注目を集めたのは、隻腕の選手というだけでなく、選手として非常に優れているためだ。NFLで活躍する日も近いだろう。