今回でこの連載も最終回。いよいよ5級に挑戦です。今まで4回にわたってボルダリングの基礎知識から体幹の重要性などをお伝えしてきましたが、この6~5級辺りから難易度はグッとアップしてきます。でも、ココをクリアできれば立派なボルダラー(クライマ…

 今回でこの連載も最終回。いよいよ5級に挑戦です。今まで4回にわたってボルダリングの基礎知識から体幹の重要性などをお伝えしてきましたが、この6~5級辺りから難易度はグッとアップしてきます。でも、ココをクリアできれば立派なボルダラー(クライマー)と言えるレベル。あと一息、がんばってクリアしていきましょう。

 さて今回、取材先のクライミングジムRISEさんにお願いし、同スタジオに通う名津美さん(27)にご協力いただきました。名津美さんは現在、アパレル関係の仕事をしているそうですが、毎日遅くまで仕事をしている関係でなかなか運動する機会がなかったそうです。そんな折「1人でも気軽にできるし体幹が鍛えられる」ということで白羽の矢を立てたのがこのボルダリングでした。もともと中学生時代にバスケットボールの選手だったこともあり、運動神経には自信があり、筋力もあったので、ある意味うってつけのスポーツに出会ったのかもしれませんね。

腕自慢が壁にぶちあたる

 さて、前回の8~7級をクリアできたら、かなりワクワクしてきている自分に気が付くはずです。「俺ってもしかしたら素質ある?」「私はイケてる?」という自信も芽生え、挑戦意欲も増している状態です。ところがこの級から難易度が上がり、最初に「ガーン!」と頭を叩かれるのがこのレベル。筆者もまさに一緒で、なまじ体力に自信があったためか、「何でクリアできないの?」「悔しい!」と、一気に自信が揺らいできました。まさに腕自慢のスポーツマンが壁にぶち当たるのがこのクラスです。

基本ムーブを覚える


 なぜこの6~5級から難しくなると言うと、「基本ムーブ」をしっかりトレースしていかないとクリアできないからです。

 基本ムーブの種類もいろいろあるのですが、中でも大切な動きの一つは「伸ばす手と同じ方向の足を上げる」こと。つまり「右手を上げるときには右足」「左足を上げるときには左手」を使うということです。そのため、「足の入れ替え」という動作も必要になってきます。7級まではこういうスキルはあまり必要とされてきませんでしたが、5級クラスをクリアするためには覚えておかなくてはならないムーブとなります。

事前にルートやテクニックのイメージを作っておく

  さてもうひとつ覚えておくべきことは、事前に「ルートを考える」「イメージする」ことです。ボルダリングは体だけでなく、頭も使うスポーツ。どういう体の使い方をすればクリアできるか事前にイメージすることが大切です。特に難易度が上がるにつけ、この“イメージすること”は重要なポンイトとなります。ワールドカップなどで世界のトップ選手たちが、ウォールの下で考えている姿を見たことのある人もいるでしょう。彼らもどういうルートでどういうテクニックを使えばその課題をクリアできるのか、それをイメージしているわけです。

基本ムーブを積極的に活用しよう

  いよいよ名津美さんも5級の課題に挑戦です。今回の課題は90度の壁と135度の複合壁。この級となるとさまざまなテクニックが必要になってきます。体の入れ替えや下半身を上手に使わないとクリアできないからです。ホールドも6つで一見、簡単そうに見えますが、実際にはかなり難易度が高い課題となっています。

▲5級の課題はコチラ!

 まず、取材先のボルダリングジムRISE(以下RISE)代表の原大作さんにスタートポジションを教えてもらいます。

▲スタートポジションを教えるRISE代表の原大作さん

▲5級スタートのホールド

▲5級ゴールは上左から2番目の青いホールド

 教えられた通り、名津美さんもスタートしますが、やはりどこか自信がなさそうな表情を浮かべていますね。運動神経の良い名津美さんでさえ、強傾斜にあるゴールはやはり、かなりのプレッシャーを感じるわけです。

▲5級の挑戦がスタートした名奈津美さん

 次のホールドへのイメージをしていましたが、この④→⑤に行くのがかなりのテクニックを必要とされるからでしょう。少し考え込んでしまいました。しかし、ここで「基本ムーブ」の通り、左足に重心を持って行き、左手で取りに行きます。そんな名津美さんの様子を原さんも心配そうに見守ります。

▲悪戦苦闘する津美さんの様子を見守る原さん

 上手く行き、⑤のホールドまで到達できました。しかし、この先も非常に難しい状況が待ち構えています。なぜなら、⑤のホールドが縦に位置していて、上から持てない形状になっているからです。まさに5級レベルの課題で、今までのクラスとは一線を画しています。

▲縦に位置する⑤のホールドは「デッドポイント」というムーブを使ってクリアする

 ⑤のホールドはいわゆる「デッドポイント」を使うためのホールドと言えます。デッドポイントとは、一旦「落ちる」=デッド=体制を作ってその反動で上に手を伸ばすムーブ(テクニック)のことを指しています。わずかながら体を沈み込ませて勢いをつけ、一気に手を伸ばして取りに行くことがコツです。

5級クリアで上級者への入り口に到達

 

▲最後のホールドをつかみ見事にクリア!

 最後のホールドを両手で掴むんだ名津美さん。「やった~!」。名津美さんから大きな声が上がりました。見事、5級の課題をクリアできました! 原さんもそのセンスの良さに脱帽していましたが、笑顔で名津美さんの健闘と成功を祝いました。

▲高難易度の課題「5級」をクリアし、勝利のグータッチ!

 ここまでくれば名津美さんはすでに中級者。より高い課題をクリアすることで、そう遠くない将来、上級者の仲間入りをすることができるでしょう。

課題をクリアしていくなかで達成感を味わえるボルダリング

 どうでしょうか。ボルダリングっておもしろいでしょ? さまざまなテクニックを覚えていけば、高い課題をクリアでき、達成感もより味わえるのがこのボルダリングの魅力なのです。

 もちろん、高い課題を克服するためには、より体のケアをするようになるため、適正なカラダ作りやダイエット効果も期待されます。2020年の東京オリンピックまであと2年となりました。正式オリンピック種目にも選ばれたスポーツクライミング(ボルダリング)。経験していない方は、ぜひチャレンジしてみることをオススメします。きっと、新しい自分を発見することができるはずです。

[施設情報]
【クライミングジム RISE(ライズ)】
・営業時間:10~24時(年中無休)。
・住所:横浜市戸塚区上倉田町479-2 東横ビル上倉田B1(JR東海道線・横須賀線、横浜市営地下鉄戸塚駅東口下車5分)
・電話:045-443-6009
・料金:会員登録料 1,500円、施設利用料 1,800円(一般)、大学生・専門学校・シニア 1,500円、高校生以下 1,000円(以上、すべて税別)。その他詳細は直接問い合わせ
・専用ホームページ:http://www.climbrise.com/

<Text & Photo : 青木秀道(H14)>