4日午後、第13回ボルダリングジャパンカップの決勝が行われ、2018年の国内チャンピオンが決定した。 女子優勝争いのゆくえは、第3課題を終えた時点で暫定1位の森秋彩、2位の野口啓代に絞られる展開。迎えた最終課題、アテンプトの差から完登しな…


 4日午後、第13回ボルダリングジャパンカップの決勝が行われ、2018年の国内チャンピオンが決定した。

 女子優勝争いのゆくえは、第3課題を終えた時点で暫定1位の森秋彩、2位の野口啓代に絞られる展開。迎えた最終課題、アテンプトの差から完登しなければ優勝のない野口は、2トライ目でTOPを掴むことに成功。優勝は森の結果次第となる。4アテンプト以内で登りきれば優勝の森だったが、スタートからのランジに苦戦。5トライを重ねた時点で可能性は潰えた。それでも残り10秒を切ってもトライを諦めない姿に会場からは労いの拍手が送られた。

 優勝の野口は2年ぶり11度目の栄冠。まだ若い世代にその座は譲らないと、日本クライミング界のパイオニアが国内女王の座に返り咲いた。3位には昨年優勝の伊藤ふたばが入り、2年連続での表彰台となっている。

 続けて男子。第1課題は全員が完登したが、明暗は直後に分かれる。第2課題は途中からスラブ(緩傾斜壁)に変わる、今大会屈指の難関。最後まで完登者が現れないかと思われたが、ここで前回王者・藤井快が魅せる。最初のトライで核心部まで達すると、試行錯誤を繰り返しながら体勢をうまく整え一気にTOPへ。難攻不落と思われた課題の一撃に会場が沸く。

 第3課題は再び全員が完登したことで、最終課題を残して藤井が前人未到の3連覇に王手をかけた。原田海、楢崎智亜が逆転優勝するためには最低でも一撃が必要な状況だったが、両選手ともボーナス獲得に留まり、この時点で藤井の優勝が確定。藤井はウイニングクライムとなる最終課題、完登こそならなかったものの、競技終了後に自身の優勝アナウンスが告げられると笑顔を見せ、歓声に手を振って応えた。2位には第4課題をただ一人一撃した村井隆一が食い込み、自身初の決勝で表彰台に立つことが許された。

 過去最多1,661名が駆け付けた大観衆の前で、世界トップレベルの熱い戦いが繰り広げられた2日間。台頭する若手選手たちに、20代の二人がその実力を見せつけた。



野口啓代コメント
「年々、日本のレベルが向上して勝つのが難しくなっていて、優勝候補が4、5人いる中での優勝なのですごく嬉しいですし、なにより自分のベストのクライミングができたと思っています。若手が今どんどん伸びていて、去年優勝できなかったこともありますし、今回のジャパンカップで優勝できなければ自分はダメだなと思ってトレーニングしてきました。なのですごくホッとしたというか、ずっと自分にかけてきたプレッシャーから解放されてこみ上げるものがありました」


藤井快コメント
「3連覇はずっと狙っていたので正直なところホッとしているというか、単純に嬉しいです。プレッシャーはそんなに感じていなかった。自分の中では失うものはないと思っていました。これで良くてもダメでも僕のパフォーマンスには関係ないし、そこはプレッシャーにする必要はないのかなと。決勝はすごく楽しかったです」








<決勝>

男子
1位:藤井 快(25)/3t4 4b6
2位:村井 隆一(23)/3t5 4b6
3位:楢崎 智亜(21)/2t3 4b4
4位:原田 海(18)/2t3 4b10
5位:石松 大晟(21)/2t4 4b5
6位:杉本 怜(26)/2t5 4b10

女子
1位:野口 啓代(28)/4t10 4b9
2位:森 秋彩(14)/3t6 3b5
3位:伊藤 ふたば(15)/3t9 4b10
4位:尾上 彩(22)/1t2 2b6
5位:野中 生萌(20)/1t3 3b7
6位:谷井 菜月(14)/0t 2b12

CREDITS

取材・文

編集部・篠幸彦 /

写真

窪田亮