◆第77回阪神ジュベナイルフィリーズ・G1(12月14日、阪神競馬場・芝1600メートル) 底知れない走りに新星の予感が…

◆第77回阪神ジュベナイルフィリーズ・G1(12月14日、阪神競馬場・芝1600メートル)

 底知れない走りに新星の予感が漂う。マーゴットラヴミーは新馬をレコード勝ちすると、白菊賞は3馬身差の逃げ切り。無傷の2連勝で大一番へ駒を進めてきた。「(前走は)ああいう競馬の方が肉体的にもダメージは少ないですから。スムーズな競馬ができれば、楽しみは大きいかなと思っています」と小林調教師。確かな手応えがある。

 開業5年目。今年は昨年までのキャリアハイ19勝を大きく上回る32勝を挙げる。しかし、トレーナーは「何も変わってない」と苦笑いを浮かべる。調教師になったのは自分の感性で競馬、馬作りをしたいため。その考えをずっとストイックに追求する。調教には細かく指示を出し、愛馬のカイバはすべて自ら考える。「一貫性を持って、運動と栄養もセットで管理することに意味がある。例えばG1で鼻差負けた時、人に任せきりにしていると絶対に後悔すると思うんです」と語る。

 妥協なき視線で見極め、中1週でのG1参戦にもGOサインを出した。「中1週にとらわれず、単純にレース後の心と体の状態で決めようと思っていましたが、想像以上によかった。使う前より良くなっています」。そう説明する表情がわずかに緩む理由がもう一つある。

 それは武豊に騎乗を依頼したことだ。「空いていたというのはラッキーでした。どれだけ時代が変わっても、競馬界のスーパースターは豊さん一人だけです」。憧れのレジェンドと挑む厩舎の初のJRA・平地G1。充実の一年に大きな勝利を刻み込む。(山本 武志)