「大相撲九州場所・9日目」(17日、福岡国際センター) 新関脇安青錦は平戸海を寄り倒し、勝ち越しを決めた。欧勝馬を押し…

 「大相撲九州場所・9日目」(17日、福岡国際センター)

 新関脇安青錦は平戸海を寄り倒し、勝ち越しを決めた。欧勝馬を押し出して9連勝とした横綱大の里を、ただ一人1敗で追う。横綱豊昇龍は初挑戦の義ノ富士を送り投げで退けて7勝目。大関琴桜は小結隆の勝をはたき込んで4勝目を挙げた。2敗は豊昇龍と平幕の時疾風の二人になった。

 安青錦が新入幕から5場所連続、自己最速に並ぶ9日目での勝ち越しを決めた。立ち合いから平戸海の突きをあてがって耐え、相手の引きに乗じて距離を詰めて左まわしを取ると独壇場だった。外掛け、切り返しの連続攻撃で崩し、小股すくいのように足に手をかけて寄り倒した。

 低い体勢のまま勝機をつかんだ安青錦。「下から攻めて前みつが取れた。相手は柔らかくて崩れなかったが、すぐ次の技を出せて良かった」とうなずいた。

 初日黒星から8連勝した夏場所に並ぶスピード給金は「そこまで意識しない」とさらり。八角理事長(元横綱北勝海)からは「内容がいい。貪欲さがある。勝っても次も勝ちたいというね」と評された。

 緊張に悩む時期もあったという。幕下の頃、師匠の安治川親方(元関脇安美錦)から「緊張するのがおまえの仕事だ」と助言され「考え方が変わった」と話す。「ずっと緊張している。気持ちよりも体は慣れてきた」と場所に臨んでいる。

 1差で追う大の里戦が控える終盤。「ここからが長い」。緊張を恐れなくなった男にとって、勝ち越しは通過点でしかない。