阪神・島本浩也投手(32)と日本ハム・伏見寅威捕手(35)の交換トレードが14日、両球団から発表された。捕手にケガ人続…

 阪神・島本浩也投手(32)と日本ハム・伏見寅威捕手(35)の交換トレードが14日、両球団から発表された。捕手にケガ人続出で絶対数不足を懸念した阪神と、中継ぎ左腕が手薄な日本ハムの補強ポイントが合致。阪神のトレードは22年オフ以来3年ぶりで、藤川政権下では初めて。伏見はチーム最年長野手となり、ベテランの経験値を生かして強力投手陣をリードする。

 初のセ・リーグ連覇を目指す猛虎捕手陣に、強力な“寅”が電撃トレードで加わった。坂本がリーグ優勝の立役者となり、梅野も海外FA権を行使せず残留。3番手捕手には決め手を欠く状況で、栄枝と町田が10月のみやざきフェニックス・リーグで相次いで負傷し、ともに手術を受けた。

 枚数不足が懸念される捕手は補強ポイントで、関係者によると、ドラフトでは中位以下で指名を検討も、リストアップしていた選手の指名がかなわなかった。そこで日本ハム側からの打診もあり、伏見に白羽の矢が立ったという。捕手陣の“質”をアップさせ、“枚数”への不安も解消させてくれる新戦力だ。

 今季は史上最短Vを成し遂げた一方で、交流戦では7連敗を喫して、日本シリーズではソフトバンクの前に屈した。パ・リーグとの対戦が唯一ともいえるウイークポイント。V2の先に待つ3年ぶりの日本一奪還へ、パ撃破は避けられない。

 伏見はオリックス時代にリーグ制覇に貢献し、22年オフに国内FA権を行使して日本ハムに移籍した。まさにパ・リーグを知り尽くした男だ。今季は64試合出場で打率・241、2本塁打。チームは2位だったが、阪神が苦戦したソフトバンク打線をリーグ最低の対戦打率に封じ込むことに一役買った。

 球団を通じてコメントを発表した伏見は、「3年間、気持ち良くプレーできたのは球団の支えがあったからだと感じています。いい思い出で、これからの野球人生にとって貴重な経験となりました」と感謝。新天地への決意を胸に潜ませた。

 トレードを受けて取材に応じた竹内球団副本部長は「坂本選手、梅野選手ともね、年齢は近いですけども、ここで切磋琢磨(せっさたくま)して戦力となってほしい」と期待。「パ・リーグ(の経験)しか今ないですけど、違った視点でうちのピッチャーを見てもらえる」と役目を与えた。パを渡り歩いてきたベテラン捕手のリードによって、セ屈指の投手力がさらに輝きが増していく。

 ◆阪神に「とら」と読む漢字を含む名前の選手が在籍するのは、1941年までプレーした比留木虎雄(ひるき・とらお)内野手以来、85年ぶり2人目。今季までのNPB全体で見ると、「寅」のつく名前は伏見を含め3人、「虎」は比留木を含め6人(監督、コーチ含む)。なおカタカナも含めると阪神には、15年から2年間トラヴィス投手(本名は佐村・トラヴィス・幹久)が在籍した例がある。

 ◆阪神・坂本(伏見について)「よく話もしますし、数年前も自主トレで何日間か一緒にやった。考え方もしっかりされているし、技術も持っているし、オリックスでは日本一も経験されている。いろんな角度からまた刺激をもらって、一緒にやれるのが楽しみ。たくさん勉強させてもらいたい」

 ◇伏見 寅威(ふしみ・とらい)1990年5月12日生まれ、北海道出身。35歳。東海大四-東海大を経て、12年度ドラフト3位でオリックス入団。23年に日本ハムへFA移籍した。勝負強い打撃と熟練のリードに定評がある。182センチ、89キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は1億円。