「明治神宮野球大会・大学の部・1回戦、立命大4-0東農大北海道オホーツク」(14日、神宮球場) 開幕して1回戦が行われ…

 「明治神宮野球大会・大学の部・1回戦、立命大4-0東農大北海道オホーツク」(14日、神宮球場)

 開幕して1回戦が行われ、大学の部では来秋ドラフト上位候補の最速151キロ左腕、立命大・有馬伽久(がく)投手(3年・愛工大名電)が大会新記録の10者連続三振をマークし、1972年の関大・山口高志が持つ8者連続三振の大会記録を53年ぶりに更新した。阪神育成ドラフト1位の神宮僚介投手(4年・桐生第一)を擁する東農大北海道オホーツクを4-0で破った立命大は、2015年以来10年ぶりに初戦を突破した。仏教大は8-0で日本文理大に七回コールド勝ち。高校の部は山梨学院、英明が勝ち上がった。

 どよめきに包まれながら、有馬は涼しい顔でベンチへと帰還した。いとも簡単に“K”が積み重なっていく。圧巻の奪三振ショーで一躍、全国に名を知らしめた。

 「打たれる気があまりしなかった。腕が振れていたので自信を持って投げられました」

 六回から2番手で登板。先頭を3球で空振り三振に仕留めたところから、偉業の幕が開いた。全て三振でアウトを奪って迎えた七回1死からは4者連続で3球三振。次打者も見逃し三振に斬って、関大・山口高志(元阪急)を超える大会新記録の9者連続三振を達成した。九回先頭の空振り三振で大会記録をさらに更新する10者連続三振。「(山口氏は)関西学生(野球連盟)のレジェンド。実感が湧かない」と自身でも驚きの快投となった。

 4回無安打無失点で球数わずか44球。最速は150キロを記録し、10個の三振中9個は決め球にスライダーを用いた。NPBスカウトからは絶賛の嵐。DeNA・八馬アマスカウトグループディレクターは「こんなことなかなか見られない。今年でも上位で(ドラフトに)かかっていた」と賛辞を惜しまず。畑山統括スカウトら4人態勢で視察した阪神で担当する岡本スカウトは「奪三振能力が高い。ツーシーム、スライダーのキレも抜群」とうなった。

 試合直前には同じ左腕で愛工大名電から立命大に進み、今季DeNAでリーグ最多14勝を挙げた東から「頑張れ」と激励を受けた。有馬は「目指すべき存在」と先輩の背中を追い、自身もドラ1でのプロ入りを見据える。「(今秋ドラフトは)自分も絶対1位で呼ばれると思って見ていた。高い目標を持って突き進んでいきたい」。歴史に残る投球は間違いなくスカウトの脳裏に刻まれた。

 ◇有馬 伽久(ありま・がく)2004年7月29日生まれ、21歳。奈良県田原本町生まれ。175センチ、77キロ。左投げ左打ち、投手。小学1年から平野パイレーツで野球を始め、田原本中では軟式野球部に所属。愛工大名電では1年夏からベンチ入りし3年夏の甲子園で8強。立命大では1年春からリーグ戦登板。今夏は大学日本代表入り。