西武秋季キャンプが14日、最終クール初日を迎えた。埼玉・所沢の室内練習場。野村大樹内野手(25)が次々に囲まれた。最初は…

西武秋季キャンプが14日、最終クール初日を迎えた。埼玉・所沢の室内練習場。野村大樹内野手(25)が次々に囲まれた。

最初は野田浩輔2軍野手コーチ(47)と岡田雅利3軍野手コーチ(36)だけだった。そこに小関竜也ファーム監督(49)がやって来た。潮崎哲也シニアアドバイザー(56)も近寄る。

防具を付けてのキャッチング練習だ。10月27日に戦力外通告を受け、その後は自前のウエアで自主トレを続けた。それがこの日は西武のウエア。「そういうこと…ですかね」と野村は言葉を選びながら話す。

そういうこと-。球団から育成選手としての再契約があったからこその、キャンプ参加だ。もう1つ。ファン観覧日にいきなり捕手練習。隠すまでもない。そういうことだ。

早実(東京)では高3春まで捕手を務め、プロ入り後もソフトバンク時代にちょっと、西武での今季も3月に2軍でちょっとだけ。その時は西口文也監督(53)も「(捕手出場の)可能性はある。大樹の幅も広がってくるし、プラスになると思う」と話していた。

腰の手術を経て、打撃の状態も戻った。それでもなお戦力外通告を受け、育成契約前提での捕手練習を始める。「兼任」だったら、育成契約にする必要は一般的に考えにくい。

だから野村本人も本気だ。「ほぼゼロからのスタート。打撃が一番の売りだと思っているので、そこを生かすための、って思ってます。まずは普通に守れないと。人の2倍3倍は練習しないとってレベルなので、オフも休んでる暇ないです」と本腰を入れる。

明大・小島大河捕手(22)をドラフト1位で獲得してもなお、球団は捕手強化へ動きを見せた。野村のサバイバルも始まる。表情はとても前向きだ。

「ホークスの時に外野もやりましたし、内野もショート以外やりましたし、キャッチャーもやったら面白いんじゃないかなって。ワクワクできる自分がいます。すごく良かった」

だから練習する。キャッチング練習後は、スローイングの反復。そしてまたキャッチング。午前練習が終わっただけで内転筋がパンパンだ。あおむけにぶっ倒れた野村。そこに岡田コーチが「まだサワリや!!」と声を響かせる、そんな捕手初日だった。【金子真仁】